スカイレンジャー自走対空砲は小型の飛翔体も撃墜します

© 2020 Rheinmetall AG

自走防空砲の「​スカイレンジャー(Skyranger)」はドイツのラインメタルディフェンスの子会社であるスイスのOerlikonContravess社によって開発された短距離防空システムです。両社は先進的な防空システムを開発する世界有数のメーカーであり、自動砲ベースの防空システムで世界市場をリードしています。射撃制御技術、自動砲、統合誘導ミサイル、AHEADエアバースト弾を提供できる唯一のシステムサプライヤーです。スカイレンジャーの武装システムのベースになっているのが、両社が開発する固定砲台ベースの防空システム「スカイシールド」です。スカイレンジャーはスカイシールドと同じ自律型の無人砲塔を搭載しています。

エリコン砲とAHEAD弾

スカイレンジャーにはスカイシールドと同じ毎分1,000発の発射速度を持つエリコン35mmリボルバー砲を搭載しています。このエリコン砲の特徴がAHEAD弾を使用する点です。AHEAD弾は空中で炸裂する散弾で一弾頭に12発の弾丸、その弾丸には8発の散弾が入っており、多少外れても確実にターゲットを捉え、高い強度を誇るタングステン合金でできた散弾は確実に損害を与えます。弾丸は信管調整することで起爆時間を調整でき、ターゲットの手前で起爆させることができます。これにより航空機やミサイルはもちろん、小さなドローン、RPGといったロケット弾を確実に迎撃することができます。エリコン砲の射程は4kmでバーストショットで20発が発射され、220発の砲弾を搭載しています。

無人砲塔

無人砲塔には電気光学式追跡センサーがあり、ターゲットを検知できる他に、コントロールセンターや外部レーダーから送られてきたデータをもとにターゲットを捕捉し、自動的に追跡します。パッシブセンサーシステムは、赤外線カメラ、TVカメラ、レーザー距離計で構成されています。これは全天候型システムであり、昼夜を問わず動作します。これらのデータを元にエリコン砲はターゲットを自動追尾し、最適な初速と起爆時間を設定し、自律的に攻撃を行います。

ガン、ミサイル、偵察の3つコンポーネントで構成

OerlikonSkyranger®

スカイレンジャーは3つのコンポーネントで構成されています。一つがエリコン砲を搭載する「スカイレンジャーガン」。そしてもう一つが地対空ミサイルを搭載する「スカイレンジャーミサイル」、そして、偵察とコマンド(指揮)を役割とする「スカイレンジャーCPSR」です。ミサイルはより強固な飛行体に対して使用され、エリコン砲よりも長い射程を有します。CPSRよりは高性能の監視追跡レーダーと電気光学センサーとネットワーク機器が搭載されており、低速低高度のターゲットを検出するための地上対地上モードを備えています。半径25kmのターゲットを確実に検知、追跡し、距離を計測、それらのデータをネットワークでシームレスにスカイレンジャーガンとスカイレンジャーミサイルに送信します。2輌のガン、1輌のミサイルとCPSRの4輌構成が最適とされ、ミッションの要件に応じて、最大6輌のスカイレンジャーをネットワーク化することが可能です。

しかし、この役割が分かれていることはコスト増で運用面も複雑になり、デメリットでもあります。世界的には全ての機能を一つの車両に納めることが流れであり、そのため、これらの機能を併せ持つハイブリットスカイレンジャーの開発も検討しています。

車両

車両は同社が製造するボクサー装輪装甲車を使用しており、ボクサーは整地での最高速度103km/h。航続距離1050kmとその高い機動力を活かし、広範囲の防空任務を担う事が可能です。

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