TOS-2|ロシアの最新多連装ロケットランチャー

TOS-2|ロシアの最新多連装ロケットランチャー
Photo Rostec

第二次大戦時から開発が続くロシアの自走式多連装ロケットランチャー。「カチューシャ」、「スターリンのオルガン」と呼ばれた兵器の系譜は今なお続いており、その最新版が「TOS‐2」多連装ロケットランチャーになる。2020年の戦勝記念パレードで初めて披露され、2022年にロシア軍に配備が予定されている最新鋭兵器になる。

カチューシャの系譜を継ぐ最新のロケットランチャー

ロシアの多連装ロケットランチャーの歴史は第二次大戦まで遡る。独ソ戦が始まった1941年にトラックのシャーシにロケット弾を発射するための8~16個のレールを装着した「BM-8」、「BM-13」を開発。精度は悪いものの最大16発を一斉に発射し、一帯を焼き尽くす飽和攻撃の効果は絶大で、その上、発射後、直ぐに移動できるため反撃も受けにくいという特性もあり、戦時中だけで1万台も製造された。これらは当時流行った歌になぞらえ「カチューシャ」、また、耳をつんざくような発射音から「スターリンのオルガン」と呼ばれた。その後もいくつもの多連装ロケットランチャーが開発された。

TOS-1|世界で最も売れてるロシアのロケットランチャー

そして。1980年には。T-72戦車のシャーシ上に多連装ポッドを搭載した30連装のTOS-1が登場。これまでのトラックと比べオフロードでの走破性が優れているのと戦車ベースのため、防御力が非常に高くなった。2001年には射撃管理システムや射程が向上した改良型のTOS-1Aが登場している。

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TOS-1の後継「TOS-2 Tosochka」が登場

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2020年、モスクワ赤の広場で行われた戦勝記念パレードに新しい多連装ロケットランチャーが初めてお披露目された。TOS-1の後継とされる「TOS-2 Tosochka」だ。

TOS-1ではT-72戦車のシャーシを使った履帯式だったが、TOS-2では高い収容力とクロスカントリーの機動性を備えたウラル・トラックをベースにした6輪装輪式となった。防御力は落ちたが、その分、軽量化、最高速度100km、航続距離1000㎞と機動力が向上した上に安価になった。

砲身数はTOS-1の24個から18個に減り、一度に発射できる火力は減少するものの、砲弾の出力が上がり、TOS-1Aの射程6,000mから向上、独自のリフト装置により、装填のためのサポート車両なしに再装填でき、装填時間は短縮されるため、火力の減少は相殺させると開発元は述べている。射撃管制システムにはTOS-1A同様にレーザー距離計、衛星航法、タコメーター、慣性計測などの最新の航法装置が装備され照準、射撃、射撃統制まで全て自動化。配置後90秒以内に攻撃が行え発火、弾と熱気化弾により、あたり一帯を焼き尽くす。また、新しいTOSシステムはGrad、Smerch、Tornadoなど他のミサイルシステムと統合することもできる。

2021年にロシア軍によるテストは完了、量産が開始された。順調にいけば2022年に最初の車両がロシア軍に納入される。

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