豪州のM1エイブラムスをポーランドで発見!間もなくウクライナへ

SNS より

オーストラリアがウクライナへの供与を発表していたM1A1エイブラムス戦車が、ついにポーランドでその姿を現した。一時はトランプ政権下での供与停滞という局面もあったが、これによりウクライナへの到着が間近に迫っていることが確認された。

ポーランドでの目撃と供与の進捗

SNS上での情報によると、ポーランドの港でオーストラリア軍の迷彩が施されたM1A1エイブラムス戦車が目撃された。これは、オーストラリアがウクライナ軍の装甲戦力強化を目的とした軍事支援パッケージの一環として、49両のM1A1エイブラムス戦車をウクライナに供与すると発表していたものだ。当初、供与スケジュールは一時的に停滞していたが、隣国ポーランドへの到着が確認されたことで、間もなくウクライナに納入される見通しとなった。

米国の承認と政治的背景

オーストラリア政府は、2024年10月17日に、退役予定のM1A1エイブラムス戦車59両のうち49両をウクライナに供与することを決定していた。しかし、エイブラムス戦車はアメリカ製の兵器であり、国際武器取引規則(ITAR)に基づき、第三国への移転には米国政府の承認が必要となる。そのため、オーストラリアの一存で供与を決定することはできない。

当初、オーストラリア政府はバイデン政権と調整を進め、ほぼ合意に達していた。しかし、トランプ政権下で状況は一変した。トランプ大統領がロシアとウクライナの停戦協議を進める中で、エイブラムスの最終承認は遅延。さらに、3月のウクライナへの軍事支援一時停止に伴い、審査は完全にストップしてしまった。この結果、供与がほぼ決まっていた49両のエイブラムスは、2025年5月になってもオーストラリアの港でウクライナへの輸出を待つ状態が続いていた。

しかし、その後ロシアとウクライナの停戦協議は破談に至り、トランプ大統領もロシアのプーチン大統領に対し、あからさまな苛立ちを見せ始めた。どの段階で米国の完全承認が降りたかは不明だが、5月末までには承認が下り、オーストラリアにあったエイブラムス戦車はウクライナに向けて出発した。

ウクライナでの配備に向けた改修と課題

既にウクライナの隣国ポーランドに到着したエイブラムス戦車だが、直ちにウクライナ軍に配備されるわけではない。まず、現在の迷彩がオーストラリア軍仕様であるため、ウクライナの環境に合わせた迷彩へと塗り替える必要がある。また、オーストラリア国内でオーストラリア軍独自の機器が除去された上で出荷されており、ウクライナ軍仕様の通信機器を新たに組み込む作業が不可欠となる。

さらに、米国から既に供与された31両のエイブラムス戦車が半数以上を損失している現状を踏まえ、損害を防ぐための改修も求められる。具体的には、対ドローン用のコープゲージ装甲や、対戦車ミサイルに対抗するための爆発反応装甲(ERA)の追加などが検討されている。セキュリティ上の理由から、正確なウクライナ国内での配備時期は明らかにされていないが、これらの改修と準備が整い次第、戦力として投入される見込みだ。

このエイブラムス戦車の到着は、ウクライナにとって極めて重要な意味を持つ。ロシアとの長期化する紛争において、先進的な装甲戦力は戦況を左右する可能性を秘めているからだ。しかし、その性能を最大限に引き出すためには、上述のような綿密な準備と、ウクライナ軍による効果的な運用が不可欠となるだろう。

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