ベラルーシが100両のT-72戦車をロシアに提供、やはりロシアにはもうT-72はない?

ベラルーシは10月だけで、98両のT-72戦車をロシアに供給したと、ウクライナでの戦況を追跡分析するOryxが報じました。

Oryxはベラルーシが10月にロシアに98両のT-72A、T-72AV戦車を送ったとする分析を発表。他にも20両のBMP装甲車、40両のBMP-2戦闘装甲車、53台のUral-4320s軍用トラックが含まれます。T-72の内、一部はベラルーシ軍の予備役から提供されています。T-72戦車は、首都ミンスク地方のウレッチャにある第969戦車予備基地の貯蔵基地から持ち出されました。ロシアへは列車移動され、その様子は映像にも捉えられています。ベラルーシ軍のT-72Aはレーザー距離計、電子射撃管制が追加され、砲塔の前面と上部には複合装甲、更に爆発反応装甲やスモークグレネードを追加するなど防御面が大幅に改修されています。これらはウクライナ東部のドネツクの前線に送られました。

やはりT-72戦車は枯渇か

mod russia

T-72はソ連時代の1970年代に開発された第2世代戦車です。1973年にソ連軍で運用が始まります。重量約45tと軽量で自動装填装置を備え3人の乗組員によって運用されます。主砲の125mm滑腔砲は現在でもロシア軍戦車の標準口径です。T-72は計25,000両が生産され、海外にも多く輸出されました。侵攻前、ロシア軍には近代化された約1000両のT-72があったとされ、且つ予備役で数千両があるとされていました。しかし、ウクライナ侵攻が始まると、これまで少なくとも1500両以上、ウクライナ国防省の発表では3000両近くの車両を失っています。3000両という数は侵攻前にロシア軍が運用していた戦車の数を超えています。また、貯蔵庫に眠っていたT-72よりも古いT-62を持ち出して近代化改修している現状もあり、既にロシア軍には改修も含めて戦線に投入可能なT-72戦車が無いことが推測されます。

ベラルーシは今後もロシアに兵器を提供するのか

ベラルーシ軍には最大で900両のT-72戦車あるとされ、今回の98両という数字は8分の1にしかすぎません。且つ、予備役からも提供ということであれば、ベラルーシ軍の戦力への影響は少ないでしょう。もし、今後も兵器を提供するのであれば、ウクライナにとっては非常に厄介です。しかし、戦車を始め兵器の調達をロシアからの購入に頼るベラルーシにとって、今の状況では失った戦力を回復することができません。少なくとも今後数年間はロシアからの供給が難しくなることが予測されるため、現在の戦況を考えれば兵器の提供は慎重になるかもしれません。しかし、ロシアが敗れれば、それはルカシェンコ大統領の終りを意味することにもなり、今後も要求があると思われるロシアの支援要求にベラルーシは難しい舵取りを迫られます。

Source

https://www.oryxspioenkop.com/2022/11/moscows-coalition-arms-and-equipment.html

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