ウクライナでレオパルト2戦車の撃破が初めて確認される

Photo wm blood

始まったとされるウクライナの大規模反攻作戦でウクライナ軍に供与されていた西側製戦車レオパルト2の撃破が初めて確認された。

6月8日にロシア国防省が公開した映像によると、ザポリージャ州ノヴォポクロフカ市付近の最近の戦闘で西側から供与されたレオパルト2A4戦車少なくとも1両がロシア軍の攻撃によって撃破された。

映像では激しい砲撃の後、炎上する1両の戦車が見える。画像も荒く、煙もあって、車両を特定することは難しいが、近くで随伴する車両の角ばった砲塔から、それがレオパルト2であることが伺え、少なくともそこにレオパルト2があったことは分かる。ウクライナでの戦況を分析するいくつかのSNSも破壊されたと報告している。

この戦域では6月5日からウクライナ軍による大規模攻撃作戦が始まっており、ウクライナ軍は第47機械化旅団を投入したとされている。ここにはロシア軍第58諸兵科連合軍291連隊が配備されており、ウクライナ軍は一時、戦線を返したが、ロシア軍の反撃によって、押し戻されている。真偽は不明だがロシア軍のロマンチュク司令官は8日「レオパルト3両を含む戦車30両以上、兵員輸送車10台以上を破壊した」と述べている。ただ、ここにはウクライナ軍の第65機械化旅団と第46航空機動旅団が投入されている情報もあり、また、レオパルト2が配備されているのは新設された第33機械化旅団、第1戦車旅団と第4戦車旅団のみという情報あり、情報は錯綜している。

偽情報を発信していたロシア

レオパルト2の破壊が確認されたのこれが初めてになるがロシアはこれまでレオパルト2撃破の偽情報を何度も発信している。ウクライナへのレオパルト2供与が決定したの今年1月になり、実際にウクライナの手に渡ったのは3月になるが、ロシアはまだウクライナにレオパルト2が無い時期に撃破の情報を発信している。ウクライナの反攻作戦が始まった最近でも、ロシア国防省は連日、レオパルト2撃破を報告。

6日にはKa-52攻撃ヘリが対戦車ミサイルでレオパルト2を破壊する映像を公開するも、実際には農業用の噴霧器とコンバインで、大本営発表と失笑された。他にもシリアで破壊されたトルコ軍のレオパルト2A4戦車を加工した画像が拡散されるなど、ロシアはレオパルト2破壊に躍起になっていた。今回の映像がレオパルト2の確実な破壊を立証できるものではないが、これまでのロシアの発表の中ではもっとも信ぴょう性は高いものにはなるだろう。ロシアとしてはウクライナの反攻の象徴となっている西側製戦車を破壊した事実を広めて、西側とウクライナの鼻をへし折りたいと思っているのだろうが、今回破壊されたレオパルト2A4はレオパルト2シリーズの中でも1980年代に生産された初期モデルであり、タイプとしては古く、シリアではトルコ軍の同戦車がISISやクルド人といった民兵組織に破壊されており、絶対的な力は持っていない。西側、ウクライナとしてもある程度の損害は織り込み済みであろう。ウクライナ軍はこれまで約60両のレオパルト2を受け取っているとされる。

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