毎月100両以上!損失を上回るロシアの戦車生産能力

毎月100両以上!損失を上回るロシアの戦車生産能力

ウクライナとの戦争で多大な損害を被っている筈のロシア軍だが、未だに損害を顧みない物量作戦を展開している。それが実現できるのが損失以上の戦車を生産する国内の戦車生産能力にある。

イギリス国防省諜報部の情報によれば、ロシアの主力戦車の国内生産能力は毎月少なくとも100両以上とされている。これはロシアの戦車の平均損失数よりも上回る数だ。ロシア軍は現在、1週間に12両のペースで戦車を失っており、月換算だと平均50両と言われているので、実にその倍の戦車を生産していることなり、これらのレポートが正しければ、ロシア軍の戦車戦力は減るどころか返って増加していることなる。

ロシア軍は2022年2月24日から2024年1月25日にかけて、ウクライナで少なくとも約2,600両の主力戦車と4,900両の装甲戦闘車両を失った推察されている。しかし、2023年に失った車両は、おそらく2022年よりも約40%少なかったとされる。戦闘車の消耗率が減少したのは、2023年の戦争の立ち位置が変わったのと、ロシアがその年のかなりの割合を防護側で過ごしたことによる可能性が高いからだ。

ロシア国防省は、今年初めにロシア軍が2023年に約1500両の戦車を受け取ったと発表しており、月平均にすると、ロシア軍は昨年毎月120両の戦車を受け取っていたことになる。ロシア軍は2022年にウクライナで1500両の戦車を失ったが、その損失分を僅か1年で回復させ、2024年からは増加に転じる可能性がある。

ただ注意したいのは、ロシアが生産している戦車は完全新規生産ではないこと。そのほとんどがT-54/ 55、T-62、T-72、T-80と数十年前に退役してモスボール化され、倉庫に眠っていた旧式の車両という点だ。基本、シャーシや砲塔はそのままにエンジンや砲身を新しい物に差し替え、光学機器や火器管制システムを追加している。装甲についてはモジュール式の追加装甲や爆発反応装甲で脆弱な防護能力を補っている。つまり、生産はゼロからの完全新規ではなく、原状復帰のためとオーバーホールとアップグレードということだ。

ロシア軍は戦車を消耗品と考えおり、質よりも数に完全に振り切っている。西側製戦車とガチンコ対決で勝てるような現代戦車など求めていない。とにかく、物量で相手を圧倒し、犠牲を出しながらでも、屍を超えて前進できればよい。月平均100両の戦車が生産できれば、50両の損失は許容範囲と考えて攻撃できる戦略はウクライナ軍に取れず、性能の高い兵器を揃えられるよりも物量で来られる方が国力で劣るウクライナ軍にとっては対応が難しい。それもあってはウクライナはより多くの砲弾を西側に求めている。

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