EUの軍需企業Nexter-KNDSは14日、2040年から2050年の世代で予想される敵装甲車両に撃ち勝つように設計された主力戦車用の大口径砲システムの革新的なコンセプトを発表しました。「AutoloadedandSCALable Outperforming guN」(ASCALON)と呼ばれる次世代主砲システムは、次の半世紀の最新の重装甲に対処するように設計されています。
ASCALONはフランスの主力戦車ルクレールの120mm滑空砲と自動装填システム、それに付随する弾薬の運用で得られたノウハウ。テレスコープ弾のような最先端技術を利用して、コンパクトな弾薬重量と体積でエネルギーレベルを最大化、140mm口径の主砲を用いた射撃演習で達成した実績をもとに設計されます。
次世代の主砲システムは次の10年(2035年)だけではなく、次の数十年にわたって軍隊の戦術的優位性を保証できなければなりません。2040年から2050年までに、同盟国(NATO及びヨーロッパ)はロシアや中国など激しい対立の復活に直面するでしょう。陸軍は戦術的優位性のため、有人、無人に関わらず最新の兵器を装備し、多数のシステムを統合、乗組員には最高レベルの保護を提供し、敵を無力化する能力を備えている必要があります。しかし、その分、敵も強化されており、戦闘に勝つには、後方支援と人間工学的制約を軽減した上で、最初の射撃はより速く、より遠くに、より高い破壊能力で攻撃する必要があります。
Nexter-KNDSは、オープンアーキテクチャ設計に基づく技術ソリューションが2025年までに完全に成熟し、フランスとドイツの主力戦車コンバットシステム(MGCS)プログラムの下での共同開発の基盤となることを期待しています。この概念は140mm FTMA砲プログラムなど、同盟国との以前の経験を利用して、将来のヨーロッパの戦車砲と弾薬の標準の基礎を築きます。
ASCALONの特徴
弾薬の選択肢を広げます
拡大された口径により、使用できる弾薬の範囲を広げ、ターゲットに合わせた攻撃が可能になります。有視界を超えて攻撃するスマート弾(BLOS / NLOS)を使用することも可能になり、戦車の脆弱性を軽減しながら新しい能力を提供します。
コンパクトな弾薬
最大長130cmのASCALONテレスコープ弾薬は、同等の口径の弾薬よりもコンパクトになります。ネクスターが習得し、ルクレールタンクで長年にわたって実証された技術である自動装填装置に格納、統合することができます。
火力の向上
最適化されたチャンバーは、現在の口径の内圧レベルを下回ったまま、弾薬のエネルギーレベルが10メガジュールに近い優れた運動性能を提供します。まだ未開拓の可能性を持つこの武器は13メガジュールの性能クラスに進化することができ、これは今後50年間であらゆる脅威に対処できます。
制御された爆風
革新的なマズルブレーキ、調整された外部圧力、および最適化された発砲インパルスは、射撃の爆風効果を強力に制限します。これにより、特に都市部の戦闘において戦車の近くに歩兵がいることを可能とします。
軽量なプラットフォームに搭載可能
制御された発砲インパルスと反動のおかげで、ASCALONは主砲の性能と致死性を超えながら、重量が50トン未満で機動力と展開力を備えたプラットフォームに取り付けることができます。
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