2021年に創業したばかりのエストニアとクロアチアのスタートアップ軍需企業のDefensphere(ディフェンスフィア)は木曜、範囲10kmの全方位の状況認識を可能とする状況認識システムを開発していると発表しました。これは戦場のゲームチェンジャーとなる画期的なシステムになります。
複合現実 (MR) による状況確認
現代の戦車や戦闘装甲車両は複数のカメラやセンサーを搭載し、車長がハッチから顔を出さなくとも、社内のディスプレイを通して車両の周囲を確認することができます。しかし、ディスプレイの数は限られており、一度に確認できる範囲は限られ、カメラの切り替え、向きの変更など、直感的な視認は難しく、タイムラグが生じ、それらは戦場では致命的になりかねません。
Vegvisirのソリューションは複数のカメラの映像を合成する革新的なカメラシステムとセンサー、アルゴリズムをベースにしており、ヘッドマウントディスプレイを使用して360度の視界を作り出し、車の周囲で起きていることを裸眼で確認しているかのような概観を複合現実 (MR) で実現。さらに光学カメラにより車両から最大10キロメートル離れたところに状況についても同様に認識できます。映像にはほとんど遅延なくリアルタイムで周囲の状況を把握できます。さらに昼夜カメラ、サーマールカメラと組み合わせること、夜間、視界の悪い状況でも視認性を確保します。
同社CEOのIngvarPärnamäeによると、Vegvisirは汎用性が高いシステムで装甲兵員輸送車(APC)、歩兵戦闘車(IFV)、主力戦車(MBT)など様々な戦闘装甲車の乗員に視認性を提供するように設計されており、現在使用されている従来のソリューションよりも、より迅速な観測を可能にします。
VegvisirはNATOの軍事基準に沿って開発されており、無人陸上車両、独立型センサー、戦場管理システムなど、戦場で使われる他のプラットフォームと統合されます。
2023年の完成を目指しており、今年の夏にパリで行われる防衛ショーでプロトタイプを公表することを目標にしています。