800両のT-62戦車のオーバーホールと近代化を進めるロシア

800両のT-62戦車のオーバーホールと近代化を進めるロシア

ウクライナで大量の戦車を喪失したロシア軍は予備役で倉庫に眠っていたソ連時代のT-62戦車を戦線に投入すべく、急ピッチでオーバーホールと近代化改修を進めています。

少なくとも1,300両、ウクライナ国防省の発表で2,500両の戦車を失ったロシア軍にはT-72、T-80、T-90といった前線を貼れる第三世代戦車はほとんど残っていません。そこで、ロシアは倉庫に長年眠っていた第二世代戦車のT-62の大規模投入を計画しているとされ、現在、急ピッチでオーバーホール、近代化改修を進めています。

ウクライナの侵攻当初、第二世代戦車の古いT-62は戦線に投入されませんでした。しかし、ロシア軍の損耗が激しくなると5月の段階でT-62がウクライナに移送されるのが目撃されます。だが、そもそも国内での稼働数が少なかったこともあり、数は多くなく、戦場で損失が確認されたT-62の数は約30両とロシア軍戦車、全体の損失に占める割合は3~4%と僅かでした。しかし、今回、明らかになった計画によると800両に及ぶ規模のT-62を改修して戦線に投入しようとしているとされます。ロシアの倉庫には2500両のT-62が眠っているとされ、これを復活させる形です。またシリアやタジキスタン、リビアに展開していた稼働状態のT-62もかき集めているとされます。

また、ロシアは損失が激しい戦闘車両の修理を行うために2つの修理工場を新設しており、ロシア唯一の戦車メーカーであるUralVagonZavodによって運営されています。T-62のオーバーホール、改修もそこで行われます。近代化改修としては最新のサーマル イメージャー、昼夜サイト、Kontakt-1爆発反応装甲やスラット装甲が追加されます。これはT-62の近代化改修版であるT-62Mとほぼ同じ改修内容です。しかし、800両の改修が終わるには3年かかるとされ、単純計算で1年あたり200~300両になります。さすがにロシアも3年スパンで今回の戦争は考えていない思われ、実際に導入されるのは200両ほどかもしれません。

T-62戦車にはない自動装填装置

T-62は1965年にロシア軍に正式配備された主力戦車になり、ロシア軍が現在、実戦配備する戦車としては最も古いモデルになります。主砲には115mm滑腔砲を搭載。滑腔砲を搭載した主力戦車としては初であり、これは当時の米軍の主力戦車であったM48/M60パットンの105mmライフル砲よりも強力で、第二世代戦車としては最強といわれていました。しかし、今となってはウクライナ軍のT-64よりも劣ります。ロシア戦車といえば自動装填装置ですが、これはT-72戦車から標準装備になった機能であり、T-62にはありません。T-72以降の戦車が3人乗りなのに対し、T-62は装填手を含めた4人乗りになります。そのため、T-62を大量配備するには装填手の訓練が必要です。しかし、現在、ほとんどの部隊で装填手の訓練を行っていなかったので、装填手の訓練体系を再構築する必要があります。

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