ロシア軍はウクライナ侵攻で20%の戦車戦力を損失しました

ウクライナ軍の発表によればロシア軍の戦車の損失は3月25日までで575両にものぼります。これはロシア軍の即応戦車戦力の約20%に相当します。

ロシア軍の戦車戦力は各メディアで12000両以上と報道されていますが、この戦車全てが稼働状態ということではありません。2020年に公開情報をもとに行われた調査では12000両の戦車の内、稼働状態にあるのは2685両とロシアメディアが報じています。つまり、多くても稼働状態にある戦車は3000両以下と考えられ、約1万両の戦車は保管状態であるということです。

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ロシアの主力戦車(MBT)の数が明らかに!?その数は?

実はロシア軍が保有している戦車の半数以上が1970年代以前に製造された半世紀前の戦車とされています。その中には第二次大戦時に製造されたT-34や戦後の1950年代に製造されたT-54/55も含まれています。T-34は式典用として数両が稼働状態です。

戦力として稼働状態にある戦車の中で最も古いとされているのが、1962年に配備が始まったT-62です。計22000両が生産され、未だ1000両が残っており、内150両が稼働状態にあり、ウクライナ侵攻にも参加しています。このT-62、実は2013年に退役を予定していましたが新型戦車の生産、配備が計画通りに進まなかったため、光学機器、装甲の近代化を行い、使い続けられています。

ロシア軍の戦車でもっとも多数を占めるのが半世紀前の1972年に配備が始まったT-72です。これまで25,000両が生産され、未だ7000両を保有、ロシア軍戦車の半数以上を占めます。ウクライナに侵攻する戦車部隊の主力を務めており、戦車の損害の中でも突出しています。半世紀前の古い戦車ではありますが、ここ十年で近代化を急速に進めており、2011年から2020年にかけて600両以上がT-72B3に、300両以上がT-72B3Mに改修されました。7000両の内、計1000両以上がバージョンアップされ、配備されていました。

この他に、ロシア軍戦車の中では割と新しい、T-80、T-90が各400両ほど稼働状態にあるとされます。

ロシア戦車最新のT-14は

T-14アルマータ戦車の量産は2021年に

ロシア軍の最新戦車で機能ベースでは世界最強戦車と言われるT-14アルマータは量産が遅れに遅れており、軍に納入されたのは僅か20両のみとされ、実配備に向けたテスト中とされ、ウクライナ侵攻には1両も参加していません。例え、今の戦況で投入しても破壊または鹵獲される可能性も高い上に、そうなれば最新の軍事技術が漏洩する危険もあります。また1両あたり400万ドルと、T-90の3倍のコストがかかる戦車をそう簡単にウクライナに投入することはできません。

経済制裁で海外製の部品やハイテク機器の調達も難しく、保管状態にある戦車の再稼働、バージョンアップも難しいとされ、損失した戦車の戦力を直ぐに回復させることは難しいとされます。

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