アメリカ陸軍が開発する「XM-1147 AMP弾」は米軍の主力戦車M1A2エイブラムスの120mm滑腔砲用に開発された次世代砲弾になり、M830-HEAT(成形炸薬弾)、M830A1- MPAT(多目的榴弾)、M1028(キャニスター弾)、M908(障害物破壊弾)の4つの砲弾の役割を担う多目的砲弾(Advanced Multi-Purpose:AMP)になります。
多目的砲弾
第4歩兵師団第3装甲旅団戦闘団第8歩兵連隊第1大隊クレイジーホースカンパニーは2021年9月、アリゾナ州ユマのユマ試験場でM1A2エイブラムスの120mm砲によるXM-1147 Advanced Multi-Purpose(AMP)ラウンドの初の発射テストを行い、さまざまな標的に対し、86発のXM1147弾を発射しました。
米陸軍ではこれまで戦車砲弾として主に5つの砲弾を状況や標的に応じて使い分けてきました。 主に戦車といった重装甲を貫くためのM829A2(APFSDS弾)。軽装甲の標的に対し用いる M830-HEATとM830A1- MPAT 、MPATは空中ターゲットにも有効です。そして、車載の機関銃では対応が難しい時に用いる対人用の M1028(キャニスター弾)。コンクリートや障害物を破壊する M908。 XM-1147 はこの内、M829A2を除く4つの砲弾の役割を全て網羅することができます。プログラム可能な信管により、標的に応じて設定を変更することが可能で、一つの砲弾で4つの弾種を担うことができます。
兵站が効率化
M1A2エイブラムスの砲弾の最大搭載数は42発です。乗員は出撃前、戦況や敵の能力を考慮して搭載すべき砲弾の種類の比率を計算しています。しかし、変化の激しい戦場において、予測通りの状況、敵が現れるとは限りません。時には不足する弾薬が出てくるかもしれません。 XM-1147が採用されれば、砲弾の搭載比率を特に考えること無く搭載でき、乗員の負担を減らし、兵站においても取り扱う弾種が減るので効率化されます。
テストの結果は良好であり戦車兵はXM-1147 AMP弾の配備を待ち望んでいます。
Source
https://www.dote.osd.mil/Portals/97/pub/reports/FY2020/army/2020_120mm-amp.pdf?ver=SPTvLIk0uiFxSsopP243RQ%3D%3D
https://www.dvidshub.net/image/6917910/modernizing-todays-army-history-making-future-force