米陸軍はSEPv4の開発を中止し、M1E3エイブラムス戦車を開発する

米陸軍はSEPv4の開発を中止し、M1E3エイブラムスを開発する
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アメリカ陸軍は6日水曜、現在、開発を進めているM1A2エイブラムス主力戦車近代化改修計画”SEPv4”を中止し、戦場での機動性と生存性を高めるためのより大規模な近代化改修計画”M1E3”を進める声明を発表した。

米陸軍の主力戦車であるM1A2エイブラムス主力戦車は現在、「システム強化パッケージバージョン」を意味する”System Enhancement Package version 4 program”ことSEPv4の開発を進めていたがこれを中止する。version 3とあるようにM1A2はこれまで3度のマイナー近代化改修を行っていたが、これまでの改修よりもより積極的、抜本的な近代化アップグレードを行う計画で”M1E3”と呼ばれ、2040年以降の戦場で直面するであろう課題に焦点を当てた改良が行われる。SEPv4は当初、2025年の導入を予定していたが、M1E3は2030年代初めに初期作戦能力を獲得する予定になっている。

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1980年代に米陸軍に就役したM1エイブラムスはこれまでM1A1、M1A2と二度の大規模な近代化が行われ、武装、防御、電子機器がアップグレードされてきた。1990年代に登場したM1A2では新規車両は生産されず、基本、既存の車両を改修する形で行われたが、M1E3でもそうなるかは不明だ。

エイブラムスXが採用されるのかは不明

エイブラムスX
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主力戦車は現在、これまでの第3、第3.5世代から第4世代という新たな世代に突入しており、無人砲塔やドローンの運用、AIによる自律走行、デジタル化など新たな時代に入りつつある。エイブラムスの開発製造元であるジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ (GDLS)もそれを見据え、次世代エイブラムスである「エイブラムスX」を2022年10月に発表している。Xでは砲塔が一新され、無人砲塔化、自動装填を搭載。砲塔部分にハッチはなく、乗員は全員車体下部に収容され、生存性が向上する。AIが採用され、自律機能が付与、乗員のタスクは軽減される上に自動化されることで射撃速度や精度など攻撃能力は向上。射撃管制装置も新しくなり、燃費も50%削減される。しかし、この「エイブラムスX」は米軍公式ではなく、あくまでGDLSが米国防省に売り込むために開発したもので、次世代エイブラムスの開発が正式に始まったわけではない。M1E3がこの「エイブラムスX」を指すのかは不明で、全く別のものを開発する可能性もある。グレン・ディーン少将は既存のエイブラムスを改修する場合、車体重量を増やさな限りアップグレードは不可能と述べており、そうなれば、機動力が減り、兵站の負担が増す点を指摘。当初62.1tだったM1エイブラムスの重量は最新のSEPv3バージョンでは72tと10tも重くなっている。そのためにはマイナーチェンジではなく車体構造から見直す抜本的な対策が必要になると思われる。

現在、M1E3で分かっているのは最近の戦闘車両のトレンドである「モジュラー式のオープンアーキテクチャ」を採用し、拡張性を待たせ、迅速かつ効率的なアップグレードを可能にする点だ。

Source

US Army scraps Abrams tank upgrade, unveils new modernization plan (armytimes.com)

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