ポーランドは新たに韓国製の軽偵察車両「KLTV」約400両と韓国製のK9サンダー自走榴弾砲のシャーシをベースにした重装甲戦闘車「CBWP」数百両の購入を発表しました。
近年、驚異的な勢いで軍備の強化、近代化を進めるポーランド。それを支えているのが韓国の軍需産業です。ポーランド国防省は8月14日、韓国の起亜自動車が開発製造する軽偵察車両「KLTV」400両の購入を発表。更に数百両の重歩兵戦闘車「Ciężkiego Bojowego Wozu Piechoty (CBWP)」の購入も発表します。CBWPは韓国の現代が開発するK9サンダー155mm自走榴弾砲のシャーシをベースにした戦闘車です。
KLTV軽偵察車両
KLTVは2016年に量産、韓国軍に配備が始まった軽戦術車両です。ポーランドではポーランド語で”軽偵察車両”を意味する”Lekkich Pojazdów Rozpoznawczych ”からLPRと名付けられます。全長4.9m、全幅2.2m、全高2m。重量は5.7tで、運転手のほか最大7名を乗せることが可能です。最大速度は130km/h、航続距離は640km。屋根には銃座や遠隔操作ウェポンステーションの搭載が可能です。韓国軍では述べ1万台の配備予定しています、海外にも輸出されており、ヨーロッパへの輸出はポーランドが初です。KLTVは1980年代に開発されたポーランド国産のホンカー汎用軽車両ととって代わります。契約額は約1.2億ズウォティ（2,900万ドル）で、ポーランド国内のロソマック工場で生産され、2024年から2030年までの引き渡し期間を予定しています。
CBWP重歩兵戦闘車
CBWP車両は韓国製のK9サンダー自走榴弾砲のシャーシをベースに開発された車両にポーランドのZSSW遠隔制御砲塔システムを装備する重武装・装甲の兵員輸送車です。重装甲とあるようにこの車両は主力戦車の後方ではなく、主力戦車の同列で配備できるため、戦闘の真っ只中に歩兵部隊を前線に送り届けることが可能になります。昼夜問わず、様々な気象条件下で火力支援と乗組員3名と兵士8名を輸送することができ、高レベルの弾道防御と地雷防御、および牽引能力を特徴としています。ZSSW遠隔制御砲塔システムには30mmブッシュマスター Mk.44Sチェーンガン、スパイク対戦車ミサイル、7.62mm機銃が搭載されています。
韓国製兵器を爆買いするポーランド
ポーランドは昨年、韓国からK2ブラックパンサー主力戦車1000両、K9サンダー155mm自走榴弾砲700両、FA-50軽戦闘機48機を購入する同国史上最大の137億ドルの武器契約を韓国と結び、世界を驚かせました。特にヨーロッパの戦車市場はドイツのレオパルト2が圧倒的シェアを握っていましたが、この牙城を崩し、欧州市場に参入できたことは韓国の兵器産業にとっては大きな一歩です。K9サンダーは既にノルウェーやフィンランドなど欧州の複数国に輸出されていましたが、ポーランドへの大量輸出が決まったことで、韓国の榴弾砲市場シェアは55%から68%にアップしています。ポーランドがこのように韓国の兵器の大量購入に至ったのは欧米製兵器と比べ、単価が安い上に一定の性能を保持しているというのもありますが、韓国が現地でのライセンス生産、技術移転、共同開発などを許容している点です。今回のKLTV、CBWPもそうですが、K2、K9もそのほとんどがポーランドの現地工場の生産を予定しています。また、韓国としてもポーランドと組み、工場など生産施設を設けることでポーランドに巨大軍産複合体を築き、欧州の兵器ビジネスの拠点にしたいという狙いも透けて見えます。韓国から兵器を購入する上では地理的要因がデメリットですが、ポーランドに生産整備拠点があれば、それはクリアできます。韓国はトルコの主力戦車アルタイのエンジン提供も決定しており、これもトルコで生産される予定です。
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