レオパルト2を退避させるためにウクライナに提供されるBPz3戦車回収車

レオパルト2を退避させるためにウクライナに提供されるBPz3戦車回収車
Photo Bundeswehr

カナダ政府はウクライナに提供したレオパルト2戦車が破損や故障によって戦場で動けなくなった場合に退避できるよう、BPz3戦車回収車を送りました。

カナダは19日、破損や故障によって戦場で動けなくなった戦車が退避できる戦車回収車を、ウクライナに送りました。これはドイツ・オランダが開発したBPz3戦車回収車になり、Bergepanzer Büffelとしても知られています。An-124輸送機によってドイツのラムシュタイン空軍基地に運ばれ、そこから、ポーランドを経由し、ウクライナへ渡されます。カナダはウクライナへの軍事支援として8両のレオパルト2A4を提供しますが、BPz3戦車回収車はこれら戦車が戦場で万が一、破損や故障、または悪路で動けなくなった際に戦車の退避を支援するために送られます。

BPz3戦車回収車とは

エンジンを引き揚げるBPz3
Photo Bundeswehr

BPz3(Bergepanzer Büffel)はドイツとオランダが共同開発した戦車回収車です。ドイツ軍はBPz3が登場するまで、レオパルト1のシャーシをベースにしたBPz2戦車回収車を使用していましたが、改良の度に重量が増え、60トンを超えたレオパルト2の前にBPz2は限界に達します。そこでレオパルト2を回収し、修理、回復できるようにレオパルト2戦車のシャーシをベースに設計されたのがBPz3になり、1992年からドイツ軍、及びレオパルト2を採用する国で運用されています。

車両上部には270度回転可能なクレーンシステムを搭載、12気筒、1250馬力のディーゼルエンジンから供給されるパワーにより、ウィンチは35~70トンの重量の機器を牽引することができ、60トンを超えるレオパルト2でも問題ありません。車両後部にはレオパルト2用のスペアエンジンを搭載することができ、エンジンの破損や故障であれば、その場で交換し、速やかに戦線に戻すことも可能です。車両には電気溶接システムとさまざまなツールが含まれており、軽微な修理もその場で可能です。車両自体はレオパルト2同様に複合装甲で覆われているので、ある程度強度の高いで戦場でも作業ができます。武装はありませんが、自衛のために、 3人の乗組員はMG3機関銃とスモークグレネードランチャーを持っています。NBC保護システムにより、汚染環境下でも作業できます。1992年から1997年にかけて200両が生産されており、ドイツ軍は75両、オランダ軍は25両、カナダ軍は12両保有しています。

BPz3はレオパルト2の支援を目的に開発された車両であり、ウクライナ軍でも基本的にはレオパルト2が配備される戦車旅団に編入されると思われます。ウクライナには少なくとも50両を超えるレオパルト2が提供される見込みであり、それを考えると5両のBPz3が必要ですが、何両がウクライナに提供されるのかは不明です。

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