ゲパルト対空自走砲のためにドイツは35mm弾の製造工場を新設します

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現在、ウクライナにはドイツから30両のゲパルト対空自走砲が提供されており、今後、更に20両の追加が予定され、計50両になる予定です。そこで、懸念になるのが35mm砲機関砲に使用する35mm弾の供給です。これを解決するためにドイツは新しい弾薬工場を新設します。

ドイツの軍需企業ラインメタル社は木曜、ドイツで35mm弾を含む中口径弾薬の新しい生産ラインを開設することを決定したと発表しました。施設は2023年1月に完成し、6月から生産を開始する予定です。新しい製造ラインは「ドイツ軍の防衛能力を回復するのに役立ち、ウクライナへの支援によって生じたギャップを埋めるのに役立つだろう」とラインメタルは述べています。

国内備蓄が無かった35mm弾

ドイツはウクライナの防空支援のために既に国内では退役していたゲパルト対空自走砲の提供を決定。4月より提供を始め、既に30両がウクライナに引き渡され、今後20両が追加される予定です。提供されたゲパルトは早速効果を発揮しており、ロシア軍が使用する自爆ドローン「Lancet」やイラン製のShahed‐136に対する有効な対抗手段になっています。先日には巡航ミサイルの迎撃にも成功しています。このように使用頻度が増える中で懸念になっているのが弾薬の供給です。ドイツがウクライナにゲパルトを提供する際、国内にある備蓄は僅か6万発でした。それに対し、ゲパルトは分間550発の35mm砲2門を搭載。これを数十両のゲパルトで分けては直ぐに弾は枯渇します。そこで、ドイツは35mm砲の製造元で弾薬の製造も行っているスイスのエリコン社に弾薬の供給を求めるも、スイスは中立の立場を理由に戦争当事国であるウクライナへ提供を拒否します。

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八方ふさがりなったドイツですが、ノルウェーが35mm弾の製造に手を上げます。しかし、ノルウェーで最初に開発された弾薬は規格に合っておらず、ゲパルトが認識できず発射できないと事態に。その後のドイツの技術者の協力もあって、解決し、弾薬を製造供給していますが、ドイツは今回の件で安全保障上の懸念を認識。スイスはいざという時に頼りにならず、ノルウェーからの輸入に頼る訳にも行きません。また、今回のウクライナでの戦争でゲパルトの35mm砲が対ドローンに有効であることが示されたことで35mm弾の需要が今後、高まることが予測されます。ラインメタル社が開発する新しい防空システム「スカイシールド」や「スカイレンジャー」、「スカイネックス」でも35mm砲は使用されています。「スカイネックス」はウクライナへの新たな軍事支援として提供される予定です。

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