ロシアが無人戦闘車両「Marker」をウクライナに投入へ、初の実戦

ロシアが無人戦闘車両「Marker」をウクライナに投入へ、初の実戦

ロシア軍は新たにウクライナへ無人戦闘車両の「Marker」の配備を計画していることが分かりました。ロシアの国営メディアTASS通信は1月15日、ロシアが開発した国産の無人戦闘車両「Marker」がウクライナの前線に配備される予定だと報じました。空ではロシア、ウクライナ両軍と共に無人機の運用が活発に行われ、海上ではウクライナ軍が無人艇を使用していますが、戦闘用途での地上無人車両の投入となればおそらくロシア、ウクライナ両軍を通して初になります。用途としては斥候、対ドローン戦の他、物資の運搬にも使用されるのではと推測されています。マーカーとはどういった兵器なのでしょうか。

マーカーは2018年3月よりプロジェクトが始まった無人戦闘地上車両(UCGV)です。ロシアでは2010年代から”Uran-9”というUCGVを開発しており、2018年1月には世界に先駆けて初めてUCGVをシリアに実戦配備しました。しかし、Uran-9の戦果は乏しく「機能が不十分であり、割り当てられたミッションの多くを実行できなかった」と烙印を押されてしまいます。戦場で明るみにでたUran-9の欠陥を踏まえて開発されたのがマーカーです。そのため、 Uran-9より性能は高いとされています。

まだ、スペックに関する情報は少ないですがマーカーはモジュラー式でミッション要件に合わせて機関銃や対戦車ミサイル、グレネードなど装備の換装が可能です。電磁パルス兵器の搭載も可能とされ、これはドローンに対して有効です。搭載された光学電子機器は最大15km先の標的を認識できるとロシア側は述べています。空中ドローンの搭載と射出も可能で、ドローンとリンクして認識した標的に対し、攻撃、ドローンから攻撃させることもできます。搭載したドローンを20回射出して、周辺を偵察、攻撃するというタスクは既に実証されています。操作は一般的なタブレットの他に音声入力も可能で、より迅速な対応を可能にします。

マーカーには通常の兵士と同じように指揮官の命令に応答できるロボットシステムの人工知能システム(AI)が搭載されています。自律移動に関してはスタート地点とゴール、経由地や中間地点を指定すれば、マーカーはニューラルネットワークと搭載されたセンサーを駆使し、独自にエリアの3次元マップを作成、最適なルートを選択して100km以上、自律移動できることが実証されています。将来的には攻撃においてもオフラインでの自律行動を可能にすることを予定しています。

マーカーの実戦投入は今回が初になりますがプーチン大統領は2030年までに自律型致死性型ロボット兵器の部隊を計画しており、 「Marker」 は地上部隊の根幹を成すUCGVとされており、今回のウクライナ投入は実戦データ収集の目的もあると思われます。

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