ロシア軍が鹵獲したブラッドレー歩兵戦闘車を配備

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ロシア軍がクルスク州でウクライナ軍から鹵獲した米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車をロシア海軍第155歩兵連隊に配備した事が分かった。

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ロシア国営メディアのRIAノーボスチはロシア海軍第155歩兵連隊の訓練の様子を撮影した写真を公開した。そこに映っていた写真の一つに車両後方の扉から兵士が車両に乗り込むシーンがあったが後部ハッチは全面を下に開く仕様というロシア軍の歩兵戦闘車にはない仕様であり、背景のフォルム、他の写真からもこれが米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車ある事が分かった。車両はウクライナ軍が制圧していたロシア領クルスク州で鹵獲されたものとされる。今年、3月、米国からの情報提供停止を受けた際にウクライナ軍はロシア軍の奇襲を受け、制圧したクルスク州のほとんどを失った。その際、ウクライナ軍はエイブラムス戦車をはじめ、多くの兵器を放棄して撤退。その際、少なくとも2両のブラッドレーが無傷に近い形でロシア軍に鹵獲されている。

鹵獲されたブラッドレーがロシア軍に配備されるのは今回が初めてではない。オープンソースOryxの調べによれば、これまで少なくとも11両のブラッドレーがロシア軍に鹵獲されており、その内、6両が無傷に近い形で鹵獲されている。過去にもロシア軍が鹵獲したブラッドレーを配備する様子を公開しており、2024年11月にはロシア軍第30自動車化狙撃旅団が鹵獲したブラッドレーを運用する様子を公開している。同部隊はウクライナの前線に展開する部隊だが、ロシア軍に鹵獲されたブラッドレーが前線で使用された事は確認されていな。M2ブラッドレーの主武装はM242 87口径25mm機関砲とTOW対戦車ミサイルになるが、必要な砲弾を生産できる能力はロシアにはない。

今回、公開された写真のように鹵獲されたブラッドレーは訓練用としてアグレッサー部隊に配備されているものと推測される。

供与された車両の内、半数を失う

ウクライナ軍はこれまで300両以上のM2ブラッドレー歩兵戦闘車を米国から供与されている。ブラッドレーは車長、砲手、運転手の 3 人の乗員に加え、 6~7人の兵士を運ぶことができ、重量は30トン前後と軽量で走破性が高く、整地を最大速度66km/h、480kmを走破するなど、ウクライナ軍機械化部隊の機動力の要であり、攻撃を受けても乗員の生存性が高い事で兵士の間では評判だ。武装にはM242 87口径25mm機関砲と7.62mm同軸機銃を備えており、25mm機関砲は毎分約200発の連射が可能で、射程は2.5km、装甲車の装甲を貫通する。戦車も側面など装甲の薄い部分であれば貫通が可能で、ロシア軍のT-90M戦車を破壊する様子も確認されている。2連装発射式のTOW対戦車ミサイルも搭載でき、予備弾3発も含め計5発を搭載。射程は3,750mと主力戦車の主砲の射程に匹敵する。1991年の湾岸戦争でソ連製のT-72戦車を主力とするイラク軍と対峙したM2ブラッドリーはこれらの武装を使用し、、M1エイブラムス戦車よりも多くの敵戦車を撃破している。

ウクライナ軍はブラッドレーを積極的に前線で活用。しかし、その分、損害も多く、これまで少なくとも165両を失うなど、供与された内の半数を失っており、前線で使用できる車両はそう多くはない。米軍にはまだ2000両程の予備在庫があるが、トランプ政権になってから追加供与の予定はない。

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