ロシア初の装輪式152mm自走榴弾砲2S43 Malvaを公開

ロシア初の装輪式152mm自走榴弾砲である2S43 Malvaを公開
ロシア国防省

ロシア軍は装輪式の152mm自走砲”2S43 Malva(マルバ)”を公開しました。同車両は量産化された装輪式自走榴弾砲としてはロシア初になります。

2S43 MalvaはロシアのTSNII 中央科学研究所が設計、国営軍需企業Rostec社が開発した152mm自走榴弾砲です。ロシアの152mm砲は西側基準でいう155mm砲と同程度の威力をもつ口径ですが、実はロシアが”装輪式”の自走榴弾砲を量産化するのは今回が初です。西側では既にフランスのカエサル、ドイツのRCH 155、スウェーデンのアーチャー、そして、日本の19式など数多く出ていますが、ロシア軍にはありませんでした。2013年に装輪式自走砲2S35-1 Koalitsiya-SV KShが公開されていますが、プロトタイプが生産されたのみで、10年経った今、量産されていません。Koalitsiyaは完全自動化された砲システム、レーザー誘導弾など様々な弾薬を発射でき、最大射程は70kmと革新的な砲システムでしたが、高スペック、翌年2014年にクリミア侵攻で制裁を受けた事で、おそらく、没になった可能性が高いと思われます。その点、Malvaは今年8月に国家試験に合格しており、ロシア国防省より最初のバッチの発注を受けており、今回公開されたのは最初のバッチで生産された量産モデルです。

2S43 Malva

MalvaはS-400防空ミサイルなどでも使用されている8×8 BAZトラックのシャーシに152mm榴弾砲を搭載した装輪式の自走砲です。砲身長は47口径で、装軌式の自走榴弾砲2S19ムスタ-Sと同じ152mm2A64砲を使用しています。射程はムスタ-Sと同じで通常弾で最大24km。30発の弾薬を搭載、装填は手動で発射速度は分間7発、複数ラウンドの同時着弾射撃機能(MRSI)が備わっています。電力供給を確保するための自給式発電ユニットを備えているとも伝えられています。

装輪化、全輪駆動と強力なディーゼルエンジンによって、無給油で整地を最長1,000km走行でき、これはムスタ-Sの倍です。多少のオフロード地形も走破できます。重量は32トンとムスタ-Sよりも10トンも軽く、Il-76輸送機で輸送することもできます。

装輪式のメリット

ドローンやセンサー類が発展した現在、砲撃を行えば、直ぐに相手に砲陣地を特定され、反撃を受けてしまうため、砲撃後は素早い砲陣地転換が必要です。また、機械化歩兵部隊のスピードも上がっており、それに追随できる機動力も必要になっています。そういった背景もあり、現在、榴弾砲は牽引式ではなく、自走式がメインであり、更にスピード、走行距離が長い装輪式に注目が集まっています。また、装輪式は装軌式と比較しても製造コストが安く、システムも複雑ではなく、装軌式よりも振動が少ないため、耐用年数の延長と運用コストの削減を実現してしまいます。展開、移動、目標捕捉に必要な時間も牽引砲や装軌式システムと比較して大幅に短縮されます。ただ、装軌式と比べると砲システムがむき出しになっているため、防御力が弱く、軽度な打撃でも損傷してします。攻撃を回避するための機動力です。

この最初のバッチのMalvaは既にウクライナの前線に配備されているとされます。

ロシア初の装輪式152mm自走榴弾砲である2S43 Malvaを公開
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