ロシア軍には対砲兵レーダーが無い!指摘した司令官は解任

イギリス国防省諜報部の分析によれば、ロシア軍には対砲兵レーダーが不足しており、これを指摘した司令官が解任された。

先日、ウクライナ南部でロシア第58連合軍を指揮していたイワン・ポポフ少将が軍上層部に上層部の失策で前線で多数の兵が戦死している惨状を伝えたところ解任されたと報道された。この時、ポポフ少将が伝えたもう一つの大きな不満が、対砲兵レーダーの不足だったとイギリス国防省は主張した。

対砲兵レーダーとは

対砲兵レーダーとは、飛翔する砲弾の弾道を捉えるためのレーダー装置。 捉えた弾道の軌跡や方角など解析することで、砲弾の発射地点、つまり、敵の砲兵陣地を特定する。最大30キロ程度の射程を誇る重砲システムは「戦場の女神」と呼ばれ、地上戦においては戦車以上に重要な兵器だ。座標情報を伝えればある程度、正確な砲撃が行え、最近はGPS誘導弾も開発され、ミサイル並みの精度を誇る。敵の重砲拠点を叩くのは戦闘を行う上で重要で、対砲兵レーダーは発射地点を素早く特定できるので、反撃、砲兵陣地を叩く上で欠かせない装備になる。

ロシア軍の地上部隊の生存は対砲兵レーダーに懸かっている

ロシア地上部隊の生存可能性は、ウクライナ軍の砲撃を受けたら砲兵陣地を素早く探知し、自軍の砲兵で反撃することにかかっている。このアプローチの重要なコンポーネントを占めるのが対砲兵レーダーであり、これにより現場指揮官は敵の砲兵陣地を迅速に見つけることができる。ロシア軍はこの対砲兵レーダーが不足。特に最新鋭のZOOPARK-1Mの不足の深刻化に苦しんでいる。

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当初配備されたZOOPARKのうち、ウクライナで活動を続ける可能性があるのはほんの一握りだけとされている。オープンソースサイトOryxの調べによれば、少なくとも8基のZOOPARK-1Mを失っている。しかし、この損失を回復させるのは容易ではない。戦車以上に高度な電子部品を使用するレーダーシステムは経済制裁下のロシアではそう簡単に製造できない。入手できても航空機や防空レーダーに優先的に回される可能性が高い。このどうしようもない状況に不満をいったポポフ少将は解任されたわけだ。ポポフ少将は「私は現代戦争の最大の悲劇、すなわち対砲兵レーダーによる偵察と反撃の欠如、そして敵の砲兵による多数の死傷者に注意を喚起した」と述べていた。

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