ロシアが開発する無人戦闘地上車両「Marker(マーカー)」(露:Маркер)は自律して100kmを走行するなど、今後、ロシアの無人戦闘車部隊の根幹を成すと注目されてる。
AIで独自にルートを設定して移動
マーカーを開発するロシア高等研究財団(FPI)は8月31日に自身の公式Youtubeチャンネルでマーカーが自律走行で移動するデモンストレーションの様子を公開した。FPIによればこのデモには装輪式1台と無限軌道式2台の計3台が参加。装輪式の1台がオフロード40km、未舗装道路60kmを5時間41分で走行した。マーカーには通常の兵士と同じように指揮官の命令に応答できるロボットシステムの人工知能システム(AI)が搭載されている。移動に際し、指示されたのはスタート地点とゴール、そしていくつかの中間地点だった。マーカーはニューラルネットワークと搭載されたセンサーを駆使し、独自にエリアの3次元マップを作成し、最適なルートを選択して移動した。今回は100kmだが、最終的には200kmの自律移動を達成することを目標としている。別の車両では搭載したドローンを20回射出して、周辺を偵察するというタスクもこなしている。
Uran-9の課題をクリアする車両
マーカーは2018年3月よりプロジェクトが始まった無人戦闘地上車両(UCGV)だ。ロシアでは2010年代から”Uran-9”というUCGVを開発しており、2018年1月には世界に先駆けて初めてUCGVをシリアに実戦配備した。しかし、Uran-9の戦果は乏しく「機能が不十分であり、割り当てられたミッションの多くを実行できなかった」と烙印を押されてしまう。この結果を受けて、戦場で明るみにでたUran-9の欠陥を踏まえて開発されたのがマーカーになる。そのため、 Uran-9より性能は高いとされる。
2019年2月には早くもオペレーターの操作で攻撃する様子を公開した。まだ、スペックに関する情報は少ないがマーカーはモジュラー式でミッション要件に合わせて機関銃や対戦車ミサイル、グレネードなど装備の換装が可能。空中ドローンとのリンクも可能で認識した標的に対し、ドローンから攻撃させることもできる。操作は一般的なタブレットの他に音声入力も可能で、より迅速な対応を可能にする。将来的には攻撃においてもオフラインでの自律行動を可能にする予定だ。
プーチン大統領は2030年までに自律型致死性型ロボット兵器の部隊を計画しており 「Marker」 は地上部隊の根幹を成すUCGVと思われる。
Source
https://fpi.gov.ru/projects/fiziko-tekhnicheskie-issledovaniya/marker/