ウラン9|既に実戦配備されているロシアの無人戦闘車

ウラン9|既に実戦に配備されたロシアの無人戦闘車
写真 766uptk

昨今、多くの無人戦闘車が開発されていますが、無人航空機と比較すると、まだ試験運用の段階で、実戦への配備は非常に限定的です。この分野で先行しているのがロシアであり、同国が開発する無人戦闘車ウラン9(Uran-9)は2018年にシリアに配備するなど既に実戦で運用されています。

シリアに既に配備

ウラン9|既に実戦に配備されたロシアの無人戦闘車

2008年の南オセチア紛争(ロシア・グルジア戦争)で、多大な被害を出したロシア連邦軍は無人航空(UAV)、無人戦闘車(UCGV)の導入を真剣に検討します。当初はUAVの開発ばかりでUCGVには目は向けられませんでしたが、2012年に就任したセルゲイ・ショイグ国防相のもとUCGVの開発も強化され、ロシア国防省主導のもとJSC 766 UPTK(現在はカラシニコフ・コンサーン)によってウラン9の開発が始まり、2016年頃にその存在が明るみになります。

多くの無人戦闘車がまだ試験段階のなか、既にウラン9は実戦投入されており、2018年1月にロシア軍が展開するシリア内戦に投入されています。そこでの具体的な戦果というのは明るみになってはいませんが、ロシア国防省の第3中央研究所のパフォーマンスレポートによると「機能が不十分であり、割り当てられたミッションの多くを実行できなかった」と報告されており、前線で使用するには早すぎた事を認めた。しかし、実戦で得たデータを基に改良され、翌年2019年にロシア軍に正式配備された。

スペック

ウラン9は遠隔操作によって操縦されます。地上を移動するUCGVは周辺環境の影響を受けやすいため、行動範囲はコントロールセンターから3キロとUAVと比べると行動範囲は非常に限定的です。そのためコントロールセンターも移動式で、ウラン9と合わせて移動する必要があります。予めプログラムを組み込むことで自律走行が可能です。航続距離は200kmで一回の充電で6時間か操作できます。最大速度は35km/h。車両サイズは全長5.6m、重量12トンと小型・軽量で輸送機や大型ヘリに搭載することが可能です。

武装

無人戦闘車としては強力な武器を搭載しています。

・対戦車ミサイル9S120アタカ×4発
・対空ミサイル9K33イグラ×4発
・30mm機関砲2A72
・7.62mm機関銃

アタカの射程距離は8kmで敵戦車・装甲車のアウトレンジから攻撃が可能です。2A72は毎分350~400発の発射速度をほこり、これらの武器により戦車、航空機、歩兵と全てを攻撃対象にします。これらの武装はミッションによって変更可能です。

各種センサーについてはサーモセンサー、ナイトビジョン、レーザー距離計にターゲット自動的に検出、認識、追跡する認識システムが搭載されています。自動認識システムは昼間で5km、夜間で最大3.5km先までの標的を認識します。

ウラン9は主に本隊の攻撃支援、偵察、対テロユニットとして使用されています。

完全自律型致死性兵器を計画

AIを搭載し、人間が操作しない自律型兵器の開発は各国で進んでおり、実戦に配備される日は近いとされます。これらの自律型兵器の多くは偵察や監視が目的で殺傷能力が無いものが多いです。殺傷兵器を搭載していても、生殺与奪の最終判断はAIではなく、人間が操作します。しかし、ロシアではAIが自動的にターゲットを捕捉、識別し、攻撃までの工程を全て自動で行う完全自律型致死性型ロボット兵器の部隊を計画しており、プーチン大統領は2030年までに創設すると述べています。ウラン9はその候補の一つです。

地上無人兵器は航空無人兵器と比べ、建物や草木、天候による通信障害や敵のジャミング攻撃を受けやすく、遠隔操作ができずに無力化してしまう恐れがあります。完全自律型致死性能力を保有していいれば、AIが判断して攻撃、防衛を行い破壊、鹵獲されることを防ぎます。しかし、完全自律型致死性には標的を正確に識別できるかという大きな懸念があります。民間人や味方を誤射する可能性は否定できず、ロボット兵器に生殺与奪の権限を与えることは世界的に議論されています。

https://www.globalsecurity.org/military/world/russia/uran-9.htm

http://766uptk.ru/index.php?do=static&page=bmrk

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