ソ連の爆発反応装甲を追加したドイツのレオパルト2戦車が登場

ソ連の爆発反応装甲を追加したドイツのレオパルト2戦車が登場

ウクライナに提供されたドイツ製のレオパルト2A4戦車にソ連によって開発された爆発反応装甲Kontakt-1を追加した車両が前線に登場した。

森の中を走行するウクライナ軍の戦車。一目見ただけではそれが何の戦車かは分からない。ソ連/ロシア系の戦車ではないが、その特徴である無数の爆発反応装甲が付いている。そう、この戦車はソ連で開発された爆発反応装甲Kontakt-1を装着したドイツ製のレオパルト2A4戦車だ。両者は冷戦時代に開発されたもので、冷戦の主役であったソ連が開発したKontakt-1、そして、ドイツがまだ東西に分かれていた時に西ドイツで開発されたレオパルト2戦車。本来、交わる筈がなかった両者がウクライナで組み合わさった。

ソ連/ロシア系の戦車は西側の戦車と比べ、重量が20tほど軽い分、防御力に劣るとされ、それを補うように砲塔から車体まで無数の爆発反応装甲(ERA)で覆われている。ERAとは敵の攻撃を受けた際、圧力に反応して、装甲内の爆薬が起爆。その反力と爆発によって飛ばされる金属板が攻撃の威力を軽減させることで車体への致命傷を避ける追加防護装備になる。西側戦車は複合装甲や空間装甲が優秀なのとアクティブ保護システム(APS)の普及が進み、あまり搭載はされていない。また戦車に歩兵を随伴させることを基本戦術としている西側にとって、爆発時に近くにいる兵に被害を与える可能性があるERAは運用上そぐわないとの理由もあるとされている。

レオパルト2がウクライナに納入された3月頃にKontakt-1を車体正面に装着したレオパルト2A4の姿が確認されたが、映像を見る限り、ERAは砲塔と側面に装着するようになったようだ。ウクライナにはA4とA6の2つのバージョンのレオパルト2が提供されているが、A6にはくさび型の空間装甲が砲塔に追加され、防御力が上がっているが、それに比べるとA4は防御力が弱い。それを補うために追加されたのであろう。しかし、ただでさえ重いレオパルト2にこれだけのERAを追加して、重量が気になるところだ。

また、使用されているKontakt-1は成形炸薬弾(HEAT)には有効だが、タンデム弾頭や徹甲弾(APFSDS)に対してはほとんど効果が無いとされ、実際、ウクライナではKontakt-1を装着したロシア軍戦車が携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」のタンデムHEAT弾によってことごとく破壊されている。弱点を解決したのが第二世代のKontakt-5やウクライナが開発した「ニージュ」になるのだが、残念ながらレオパルト2に装着されたのはそれらではないようだ。ウクライナ軍のレオパルト2のERA装着は標準装備になるのだろうか、イギリスのチャレンジャー2やアメリカのM1エイブラムスにも装着されるのだろうか。

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