ドイツ政府は、ウクライナへ供与したことにより減少した戦車戦力を補充するために、18両のレオパルト2A8戦車と 12両のPzh2000自走榴弾砲の購入を承認しました。
ドイツメディアの報道によれば、ドイツ議会の予算委員会が新たな戦車購入に5億2,560万ユーロ、榴弾砲購入に1億9,070万ユーロの予算を承認したこと明らかにしました。更に、戦車105両分、総額29億ユーロに及ぶ追加オプションも含まれています。
1992年ぶりの戦車の新規生産
ドイツは18両のレオパルト2A6戦車をウクライナへの支援として送りました。その他、チェコとスロバキアがウクライナに供与したT-72戦車などの対価として少数のレオパルト2A4を供与、両国は最終的に合計で30両のレオパルト2を求めています。それもあり、侵攻前には350両あったとされるドイツ軍のレオパルト2は50両弱が減る予定です。その他、フィンランドやスペイン、カナダなど、複数のレオパルト2運用国もウクライナに供与しており、今後、その補填のための注文が入る可能性もあります。更にノルウェーが次期主力戦車にレオパルト2A7を選択、54両を取得する予定です。
Norwegian Armed Forces ノルウェー国防省は3日、選定を進めていた次期主力戦車にドイツのレオパルト2A7戦車の採用を決めたことを発表した。コンペを争っていた韓国のK2ブラックパンサーは敗れる形になった。 [[…]
ドイツの防衛産業は、東西統一後、余剰となっていた戦車の在庫管理のための新規生産が法律で禁止され、1992年以降、ドイツ軍向けのレオパルト2は生産されていません。そのため、以降は新規製造するのではなく、既存の車両を改修してバージョンアップを行っていました。他国が購入を求める場合は基本、ドイツ軍の在庫から中古を販売するケースがほとんどでした。しかし、今回の2A8は在庫のバージョンアップではなく、生産元のクラウス=マッファイ・ヴェクマン(KMW)に新規に生産を発注する形になります。
レオパルト2A8とは
レオパルト2の最新モデルは2021年9月にドイツ軍が初めて受領したレオパルト2A7Vで、2023年までに104輌の2A7Vを受け取る予定です。それに対し、レオパルト2A8はハンガリーが2018年に44両発注したレオパルト2A7HUをベースに開発されたもので、2020年には存在しており、最新ではありません。
2A7Vはレオパルト2A6の近代化アップグレード版であり、既存の車両を改修しているため、ドイツ軍の戦車の母数は増えません。それに対し、2A7HUは新たに生産されたモデルで、今年6月にハンガリーに納入予定のため、生産ラインがあり、そこを使って生産すれば、時間もコストも削減できます。2A8には新しいエンジンとイスラエルのラファエル社製のアクティブ保護システム(APS)「TROPHY」が搭載されます。
写真 - KNDS 第一次大戦から戦車を始めとした戦闘車両の開発をリードしてきたドイツ、フランスの両国は2億ユーロの資金を投じて共同で新世代の主力戦闘車(MGCS)を開発を始めます。 フランスのサイト”Forces Opera[…]
ドイツはラインメタル社が開発中の第4世代主力戦車KF-51パンター、フランスと共同で開発する次世代主力戦車MGCSの開発を待たずにレオパルト2A8を生産する選択をしました。KF-51、MGCSともに正式運用できるまでにはまだ数年かかるとされており、早急に戦力の補充ができるとレオパルト2の生産を選択したものと思われます。ただこの決定にはKF-51の開発元であるラインメタル社、MGCSの共同開発を行うフランスは良い顔をしていないとされています。MGCSに関してはドイツがKF-51を開発するなどして、前よりプロジェクトを巡って対立していました。
credit rheinmetall ドイツの軍事企業ラインメタル社はパリで開催されている欧州防衛安全保障展示会「ユーロサトリ2022」で130mm滑腔砲を搭載した新型戦車「KF-51 Panther(パンター)」を公開しました。 […]
Source
Bundeswehr bekommt zwölf neue Haubitzen und 18 moderne Leopard-Kampfpanzer (handelsblatt.com)