メルカバ戦車を破壊するためにハマスがとった肉弾戦

ハマスの戦闘員は強固な装甲とアクティブ保護システムを持つイスラエル軍のメルカバMk4戦車を破壊するためにある戦法を取りました。それは生身の戦闘員が戦車に張り付いて爆弾をセットするという肉弾戦です。

ハマスはメルカバMk4戦車に攻撃する戦闘員の映像を公開しました。地下のトンネルからメルカバ戦車の傍らに出ると、メルカバ戦車の真横に付いて、爆弾をセット。安全ピンなようなものを抜くと一目散に退散。その後、爆弾が爆発する音が聞こえます。その後、トンネルに戻るとRPG-7ロケットランチャーを取り出し、再び戦車に攻撃します。ロケットランチャーがあるなら、危険を冒さず、それで攻撃すればと思いますが、このような戦法に出たのはある理由があります。

(※上の映像。2秒と30秒に左のメルカバ戦車のAPSが起動している)

それは、メルカバMk4戦車に搭載されているアクティブ保護システム(APS)「トロフィー」の対策です。搭載されたレーダーシステムは戦車に近づく砲弾、ミサイル、ロケットといった脅威を即座に検出、自動的に実行されるインターセプターによって飛翔体を撃墜、直撃を防ぎます。トロフィーは世界最高峰のAPSになり、アメリカのM1A2エイブラムス、ドイツのレオパルト2A7など西側戦車に多数採用されています。メルカバに打撃を与えるためにはまず、このAPSをクリアしないといけません。そこで、トロフィーに検出されない生身の人間による接敵と爆弾の設置です。これで、まずAPSを破壊。無効化した上でロケットランチャーによる攻撃です。

APSは飛来する飛翔体を迎撃する特性上、周辺に歩兵がいると爆発に巻き込まれる危険性があるため、起動中は随伴歩兵はおらず、車長もハッチから顔を出すことはできません。そのため、周囲の状況確認は限定的になり、茂みなや市街地など人が身を隠せる場所では接敵を許してしまいます。ちなみに今年配備予定の最新のメルカバMk5では車内から周囲360度を映像で確認できるヘッドアップディスプレイ(HUD)が搭載されるなど、対策は進んでいます。

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