廃止されたと思われたウクライナのT-64BM戦車がドンパスで確認される

廃止されたと思われたウクライナのT-64BM戦車がドンパスで確認される
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ウクライナ東部ドンパスで親露派武装組織に鹵獲、破壊されたとされるウクライナ軍のT-64BMブラートの写真や映像が最近SNSにいくつか投稿されました。T-64BMはウクライナ軍が多数保有するT-64戦車の中で最も新しい改良版ですが、問題があり、2014年以降、ウクライナ軍から姿が消え、運用が停止され、ウクライナ侵攻が始まってからもその様子が報じられることはありませんでした。

T-64はソ連時代の1960年代にウクライナのハリキウ機械製造設計局とウラル車輌工場で設計開発された戦車です。当時としては最新技術である複合装甲、115mm滑腔砲、自動装填装置を搭載する形で開発されるも、それが仇となり、開発が難航、その上高コスト、故障率の多さもあり、採用はソ連軍に留まり、あまり普及しませんでした。ロシア軍は未だT-64よりも古い、T-62を運用していますが、T-64は全てウクライナで開発製造されたこともあり、ウクライナとの関係悪化後はサポートが難しくなったこともあり2017年に全車退役しています。開発元であるウクライナはソ連崩壊後も主力戦車の一つとして運用を続け、改良型のT-64B、T-64BVが戦車部隊の基盤を務めています。T-64BMはそのT-64シリーズの最新近代化バージョンになります。

T-64BM

T-64BMは第2世代戦車のT-64を第3世代戦車並みの能力を付与すべくハルキウのモロゾフ機械設計局で開発された戦車になります。主砲は115mm滑腔砲からT-72以降の戦車と同じ125mm滑腔砲にバージョンアップ。最大射程は昼間で2500m、夜間1500mになります。また、他の125mm滑腔砲同様、主砲からは最大射程5000mを誇る対戦車ミサイルを発射できます。最大36発の砲弾を搭載、内28発が自動装填装置で装填されます。副武装には同軸7.62 mm機関銃、砲塔上部に遠隔操作可能な12.7 mm対空機関銃を搭載しています。暗視装置や射撃管制装置など現代的な光学機器が搭載されています。装甲には爆発反応装甲が追加され防御力も向上。車体が重くなった分、ディーゼルエンジンは700馬力から850馬力にアップされ、最高速度は変わらず65km/hになります。

東部紛争で問題が露呈

2005年から配備が始まり、これまで100両ほどがT-64BMにアップグレードされました。2014年には東部の親露派との紛争に投入され、実戦デビューを果たしますが、この実戦で爆発反応装甲が満足に動作しない、車体にヒビが入るなど様々な問題が露呈。2014年以降、T-64BMは倉庫に眠るようになり、T-64戦車部隊の主力は1980年代に開発された一世代前のT-64BVに戻っていました。ロシアによる侵攻が始まってからもT-64BVが戦闘に参加する様子は度々向けられましたが、T-64BMの情報はありませんでした。しかし、ここ最近になり、T-64BMが東部ドンパスでロシア軍に鹵獲または撃破されたの情報が複数上がってきています。

ウクライナ軍はポーランドやスロバキアから第三世代のT-72戦車200両以上が提供され、ロシア軍からはT-72、T-80、T-90を含む数百両の戦車を鹵獲、戦車戦力は拡大しています。しかし、ここにきて問題があるT-64BMの投入に疑問が向けられています。しかし、このT-64BMがそもそもどのタイミングで投入されていたものかは分かりません。提供、鹵獲された戦車の本格投入は整備や戦車兵の訓練などが必要であり、まだ時間がかかります。T-64BMはそれまでの隙間を埋める目的で投入された可能性もあります。

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