イラン陸軍、遂に新型主力戦車カラールを配備

イラン陸軍、遂に新型主力戦車カラールを配備

イランは10年の歳月をかけて開発した国産の主力戦車Karrar(カラール)の装甲部隊への配備を開始した。

イラン関連の軍事情報を発信するXアカウントの@IranDefenseが12月3日に投稿した映像には、ボルボFH-16トラックによって移送される5両のカラール主力戦車が映っていた。情報によれば、これらはイラク国境と接するフーゼスターン地方のイラン陸軍第92機甲師団に輸送された。

カラールは2010年代に開発が始まったイラン国産の主力戦車で、2016年に公開、2017年には量産を開始すると発表。2018年7月にはイスラム革命防衛隊が800両の調達を計画していることが明かされ、イラン陸軍への量産モデルの配備準備は整っていると見なされていた。

T-72をベースにしたイラン国産戦車

カラールはイラン国産ではあるが、完全オリジナルではなく、ソ連時代に開発されたロシアのT-72戦車をベースにしており、新しいもののシャーシはT-72になり、T-72Fとも呼ばれている。イランは1993年から2012年にかけてロシアからのライセンス供与に基づいてT-72S戦車を生産しており、T-72の製造ノウハウを持ち合わせている。ただ、砲塔に関してはT-72とは別物になり、砲塔を含めた外観は同じくロシアのT-90に似ている。ロシア軍高官によると、カラールの設計はロシアのT-90MS型とほぼ同じだが、米国のエイブラムスや英国のチャレンジャー主力戦車に見られる特徴も組み込まれているという。カラールは全て国の防衛産業によって開発されたとイランは謳っている。

カラール戦車のスペック

カラールにはT-72にはなかったブローアウトパネル(破裂板)を搭載。車載砲弾の誘爆時の爆風を外に逃がすように設計されており、これはロシア戦車ではT-90M/MSから搭載されている。前面と砲塔には爆発反応装甲(ERA)、側面位置には複合装甲モジュールが追加され、防護力は強化されている。

主砲はロシア規格の125mm滑腔砲になり、徹甲弾(APFSDS)、対戦車榴弾 (HEAT)、破砕弾 (HEF)、そして、対戦車誘導ミサイルが発射可能だ。副武装には遠隔操作兵器ステーション(RWS)の12.7mm機関銃が搭載されている。ロシア戦車がベースということもあり、自動装填装置を搭載、車長、砲手、操縦手の3人乗りになる。

最高速度は時速70km、走行距離は550km。最新の暗視装置、電子光学射撃管制システム、レーザー距離計、弾道コンピューター、戦闘管理システム、デジタル制御パネルが搭載されている。

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