ポーランド陸軍はロシア陸軍を凌駕し、欧州最強に

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近年、驚異的な勢いで軍の強化を図る東欧のポーランド。数年以内に地上戦力がロシア陸軍を上回ると予想されており、かつて世界最強といわれたロシア陸軍はヨーロッパにおいても、その地位を下げることになるかもしれない。

2022年2月24日に始まったロシア・ウクライナ戦争はもうすぐ3年目を迎える。開戦当時、世界最強と称される陸軍を持つロシアを前にウクライナは早々に陥落すると思われたが、ウクライナ軍は激しく抵抗。首都キーウに迫ったロシア軍を撃退し、北部から撤退させた。現在、戦線は膠着状態になっており、消耗戦が続ている。そして、この3年間でロシア軍は多くの戦力を失った。

ウクライナ国防省の発表によれば、ロシア軍は2025年1月30日時点で、戦車9890両、戦闘装甲車20614両、砲システム22412門、ロケット砲システム1264門を失った。画像や動画を元に確実な損失を集計しているオープンソースのOryxの集計では戦車3718両、戦闘装甲車3804両、砲システム1494門、ロケット砲システム453門を失っている。今のロシア陸軍の戦力を正確に推し量ることは難しいが、ビジネスインサイダイーによればロシアが前線に送り込むことのできる戦闘準備の整った車両の数は、戦車が約2,000両、歩兵戦闘車が約2,000両、装甲兵員輸送車が約3,000両と推定している。ただ、これらの大部分がソ連時代の旧式兵器で占められている。稼働可能な装備備蓄はもうほとんどないと言われている。新規生産も行っているが、ロシアの現在の年間生産能力は戦車300両、大規模生産されている唯一の歩兵戦闘車であるBMP-3が400~500両ほど、BTR-82装甲兵員輸送車が300~400台と推定されている。しかし、この生産量を大幅に上回る損害数を毎年出しており、母数は減るばかりだ。

侵攻前、ロシア陸軍が配備していた戦車は2685両とされている。これらは第三世代戦車のT-90AやT-80シリーズ、1971年に配備が始まった第2世代戦車のT-72を近代化し、第三世代の能力を追加して近代化モデルT-72Bシリーズがメインになるが、戦車の損失が少なくとも3718両ということから、侵攻前にあった戦車はほぼ壊滅したと言ってもいい。現在のロシア軍の主力戦車は少数のT-90Mと戦車の墓場にあった、T-62、T-54/55を修理して送り込んでいるに過ぎない。これは戦闘装甲車、砲システムにおいても同様であり、侵攻前に配備された稼働状態で配備されていた戦力はほぼ壊滅したと言ってよく、今のロシア陸軍はマンパワーと旧式兵器によって保たれている。対するウクライナ軍も兵力、兵器不足に陥っていることもあり、まだ戦力的にはロシア軍優勢で、少しづつだが、制圧地域を拡大している。ただ、かつて世界最強と言われたロシア陸軍の面影はないと言ってもよい。ロシアがウクライナで戦力をすり減らす中、ウクライナの隣国でロシアの飛び地カリーニングラードに隣接するポーランドは戦力を拡大させていた。

戦車

戦車爆買いしたポーランドはNATO3番目の軍事大国に

地上戦の要となる戦車においてはまず、侵攻前の2021年7月にアメリカからM1エイブラムスの最新モデルで世界最強と称されるM1A2SEPv3エイブラムス戦車250両の調達を決定しており、2025年1月に最初の28両が納入されている。2026年までに完納される予定なので、今年中には100両近くが納入されると推測される。ポーランドは保有していたT-72戦車290両全てをウクライナへの軍事支援と供与したが、その代わりに追加でアメリカから米海兵隊で使用されていて一世代前のM1A1エイブラムス戦車116両の調達を決定し、全て納入されている。これはあとあと、M1A2SEPv3にバージョンアップする予定だ。

そして、2022年7月には韓国からK2ブラックパンサー戦車1000両を調達する事を決定。その内180両が韓国からの輸入、820両はポーランド国内でライセンス生産する事になっている。この内、韓国生産分の180両は全て完納済みだ。この他、ドイツ製のレオパルト2戦車を247両、国産でT-72戦車の改良型であるPT-91戦車232両を保有。ポーランド軍の現在の戦車戦力は803両になり、2025年中にはこの数が1000両近くになると推測される。2~3年後にはその数は1845両になる。

戦闘・装甲車

BWP Borsuk

戦闘装甲車においては国産のBWP Borsuk重歩兵戦闘車を2023年に1400両を発注。2024年から量産が始まっているが、納入数は不明だ。これは冷戦時代に生産され、916両を保有するBWP-1歩兵戦闘車の後継になるが、BWP-1は2030年までは退役しない予定だ。この他、フィンランドのパトリアAMVのライセンス生産で派生型のKTO Rosomak装甲兵員輸送・歩兵戦闘車を500両ほど保有。将来的には600両規模になる。この他、偵察装甲車なども合わせると現在の戦力は1500両ほどで将来的には2000~3000両を数える規模になる予定だ。

砲システム

K9

榴弾砲、ロケット砲を含む砲システムにおいては韓国製のK9サンダー155mm自走榴弾砲を820門発注している。この内、218両は2026年までに納入される予定で現在、136門が納入済。606門は2026年からポーランドでライセンス生産される。この他、国産のKrab155mm自走榴弾砲174門を保有していたが、この内52門をウクライナに供与している。この他、チェコ製のDANA 152mm装輪自走榴弾砲を108門。そして、古い国産の2S1グヴォズジーカ 122mm自走榴弾砲を198門保有していたのが確認されているが、多数をウクライナに供与したと報告されており、その数は不明だ。牽引式砲についてはポーランド陸軍の兵器リストでは確認できなかった。現状、300門程の自走榴弾砲を保有しており、最終的には1000門を超える。

K239 Chunmoo

ロケット砲システムについてはロシアによる侵攻前、20両のアメリカ製のHIMARSを保有していたが、ウクライナでの活躍を受けて2023年9月に486両を追加発注している。また、2022年11月には韓国製のK239 チョンム多連装ロケット289両を発注。その後、72両を追加。現在、90両が納入され、2027年までに完納される予定だ。この他、国産のWR-40 Langustaを75両、冷戦時に生産された古いチェコ製のRM-70を29両保有。現在の数は200両ほどだが、その数は900両ほどまで膨れ上がる。

かつて、ヨーロッパの狭間で何度も大国の侵略を受け、ソ連の侵攻も受けたポーランドは今のウクライナは他人事ではなく、いち早く軍事拡張に動き出した。今や陸軍はアメリカを除いては欧州NATO最強といってもよく、早ければ、年内にもロシアを超え、ヨーロッパ最強になるかもしれない。

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