ウクライナ軍が保有する戦車で最強といわれる戦車T-84 Oplot-M(オプロート)が砲撃する様子がSNSに投稿されました。T-84 Oplot-Mはウクライナ軍の最新鋭戦車で僅か6両しか保有していないとされる貴重な戦車です。この様子が撮影されるのは稀です。
T-84 Oplot-M(T-84U)が発砲する様子は8月6日にSNS上に投稿されました。5月下旬にも画像が出回りましたが、戦場で発砲する様子が納められたのは初めてです。車両はかねてからT-84 Oplot-Mの配備が噂されていたウクライナ陸軍第14独立機械化旅団に所属する車両のようです。戦車大隊は南と東の戦線に分かれており、T-84 Oplot-Mは東の部隊に配備されています。1小隊分しかない車両は整備効率などを考えると全量、同大隊に配備されている可能性があります。
T-84 Oplot-Mのスペック
ハリキウのマリシェフ工場で生産されているT-84 Oplot-Mはソビエト時代に開発されたT-64の改良型であるT-80UDを近代化アップグレードモデルで1999年に基本形のT-84が登場。その最新モデルがT-84 Oplot-Mになり、2009年よりウクライナ軍に配備されています。主砲には125mm滑腔砲を搭載、自動装填装置を備え、46発の砲弾を搭載。主砲からは最大射程5000mの対戦車誘導ミサイルの9K119M Reflexも発射できます。ロシアの徹甲弾を防ぐ次世代のデュプレット爆発反応装甲(ERA)を装備しており、これはロシアのKontakt5反応装甲よりも優れているとされます。戦車には赤外線・レーザー誘導妨害装置のシュトーラ対策システムが搭載され、対戦車ミサイルの命中率を低減しています。Zaslonアクティブ保護システムの取り付けも可能です。-40°Cから+55°Cまでの広い温度範囲、海抜3000 mまでの高地など過酷な環境でも動作します。重量は約51トンと軽量で、最高速度は整地で時速70kmと機動性にも優れており、ウクライナ軍が世界に誇る高度な主力戦車で、ロシアのT-90に唯一対抗できる戦車と目されていました。
多くが輸出され、国内用に生産されたのは僅か10両
T-84 Oplot-Mは100両弱がこれまで生産されました。しかし、予算不足で自国の軍向けに生産されたのは僅かで、ロシアの侵攻前までにウクライナ軍用に納入されたのは僅か10両しかありませんでした。生産された車両の多くは、輸出用として海外に販売されています。その最大の輸出先が東南アジアのタイになり、タイ軍は49両のT-84 Oplot-Mを発注。タイの気候に合わせエアコンや通信機器を改修した「T-84 Oplot-T」が開発されます。2014年までに全両が納入される予定でしたが、2014年にウクライナ東部紛争が起きたことを受け、納期は延期されるも、2018年までに完納。タイはT-84 Oplotの最大の運用国になります。
また、ウクライナ軍はロシア侵攻前の2021年10月に国内に10両しかなかったT-84 Oplot-Mの内、4両を米国防総省に売却してしまいます。アメリカがこの戦車を戦力とする欲するわけがなく、対ロシアを睨んだ模擬戦、そして、間接的なウクライナへの資金支援が目的とされています。
Photo ukroboronprom ウクライナ国営企業Ukroboronpromは10月19日、子会社のUkrspetsexportを通してウクライナ軍の主力戦車であるT-84BM-Oplot(オプロット)を米国の顧客に出荷した[…]
アメリカに渡った、この4両がその後、どうなったかは不明ですが、アメリカの追加の軍事支援として、ウクライナに戻る可能性はあるかもしれません。
T-84含め Oplot-Mがこれまで破壊、またはロシア軍に鹵獲されたという情報はありません。破壊していれば、ロシア側は大々的にアピールするはずなので、6両はまだ無事かと思われます。