中東のパキスタンがウクライナにT-80UD主力戦車を提供する可能性があると報じられています。しかし、それには、西側がある条件を受け入れなければならなさそうです。
パキスタンはロシアによるウクライナ侵攻について、中東の国では珍しくウクライナへの支持を表明して、人道支援物資を送っています。というのもウクライナとパキスタンは長年、有効な関係を築いており、ウクライナが独立した1991年から2020年までの間に、ウクライナはパキスタンへ総額約16億ドルの武器供給取引を行っており、昨年には両国間で「防衛生産、人員訓練、テロ対策、諜報活動において軍事関係を最適化する」ことに合意していました。この長年の取り引きの中でパキスタンは、1997年から2002年にかけて320両のT-80UD戦車をウクライナから購入しています。今回、この中から、44両のT-80UDをウクライナに提供すると申し出ています。
提供の条件
しかし、提供する上で、パキスタンは西側諸国にある条件を示しているそうです。それが、自国への経済援助です。パキスタンは昨年、国土の3分の1が水没するという未曽有の洪水被害を受け、更に世界的な物価高、燃料費の高騰などで経済危機に墜ちいっています。少しでも外貨を稼ぐため、実はパキスタンはウクライナへ武器と砲弾を売却するなどしており、影の軍事支援国でもあります。ただ、実際はイギリスがパキスタンから武器弾薬を購入して受け取り、イギリスからウクライナに提供しているので直接支援ではありません。この迂回はおそらく、ロシアからの批判を交わすためと思われます。洪水で国内農業が大打撃を受けたパキスタンはロシアから昨年400万トン以上の小麦を受け取っています。
T-80UD戦車とは
T-80UDはソ連が1970年代に開発したT-80、その後、Kontakt-5 爆発反応装甲、Shtora-1 APSを追加するなどして改修されたT-80Uをベースにウクライナで開発、1987年に導入された改良版です。T-80はもともと1250馬力のガスタービンを搭載していましたが、T-80UDには1000馬力の6TDディーゼルエンジンを搭載、これにより、高い燃費効率と長い走行距離を実現させます。T-80UDの”UD”は「ウクライナ・ディーゼル」の略です。この他、遠隔操作の対空機銃も追加されています。最後に製造されたバッチにはウクライナの最新戦車T-84の要素も加わっています。T-80UDは今回の戦争でもロシア、ウクライナ両軍で使用されています。
戦車大国パキスタン
隣国インドと領土問題を抱えるパキスタンは世界有数の戦車大国であり、多くの戦車を所有しています。Global firepowerのレポートによると、パキスタン軍は2022年時点で約3600両の主力戦車を所有。内訳は中国の99式戦車の輸出版であるVT-4が175両、中国と共同開発したアル・ハリド (MBT 2000)が600両と改良版のアル・ハリドIが150両、中国の59式戦車をウクライナの支援の元にアップグレードしたアル・ザラールが750両、中国の85式が410両、69式が400両、59式が600両。そして、中国製のT-55が330両に、T-80UDの320両です。対インドで利害が一致する中国と同盟関係にあり、パキスタン軍の装備は陸海空ともに中国式になっています。そのため、T-80UDの削減はパキスタン軍の戦力にそこまで影響はないかもしれません。
写真 finance.sina.com.cnパキスタン軍はVT-4戦車、パキスタン名ではAl Khalid-2（アル・ハリド２）と呼ばれる主力戦車を初めて披露し、この中国が開発した戦車の購入を明らかにしました。インド軍への[…]
Source
https://report.az/diger-olkeler/pakistan-ukraynaya-44-eded-t-80-ud-tanki-vere-biler/