ロシア最大の国営軍需企業ロステック社は同社が開発生産する最新鋭戦車T-14アルマータが他の戦車と比べ、あまりに高すぎるため、ウクライナには配備されないと語り、T-14の量産は行われないという主旨の発言をした。
ロシア国営メディアRIAの3月4日の報道によれば、ロシア国営の軍需企業ロステック社のトップであるセルゲイ・チェメゾフ氏はRIAの取材に対し「T-14アルマータは、他の戦車と比べ少し高価です。もちろん機能的には既存の戦車よりはるかに優れていますが、高価すぎるため、ウクライナ、陸軍で使用される可能性は低いです。彼らにとってはT-90Mを購入する方が容易です」と述べ、現状、T-14の量産化は行われない主旨の発言をした。
T-14アルマータの一両あたりの価格は800~1200万ドルと推定されている。それに対し、ロシアがウクライナに配備している主力戦車であるT-90M戦車は450万ドルとされ、T-80は300万ドル、T-72にあたっては50万ドルとされる。T-90戦車の最新近代化版であるT-90Mは既存のT-90Aを改良する形での生産なので、改修費用だけで済むので実際のコストはもっと安い。T-72についても、現在、投入されているT-72B2やT-72B3も既存戦車の近代改修型だ。それに対し、T-14アルマータはゼロから生産する必要があり、生産費用はマルマルかかる。つまり、1両のT-14生産費用でT-90Mが3両以上生産できる。ロシア軍は高価なT-14アルマータを1両生産するよりも、安価で入手が容易なT-90MやT-80といった戦車を求めている。
mod russiaロシアの最新戦車T-14アルマータ。2015年に初めて公開され、2020年には実戦配備されると言われながら、未だに量産化すら、実現していない。未だに実用化できていないT-14の現状についてロシア元大統領のドミト[…]
T-14アルマータが戦場に投入されない理由として、前ロシア大統領で現安全保障会議副議長のメドヴェージェフ氏はT-14がまだ、試験を終えていない点と、コストが高い点に言及していた。T-14アルマータは2023年4月にウクライナに投入されたが、それらは全てプロトタイプで前線に投入されることは無く、僅か4か月ほどで撤退している。ロステック社は度々、T-14アルマータの量産化遅延を発表していたが、この様子であれば、少なくとも戦争中にT-14が量産化されることはないだろうし、その後の量産化も不透明だ。