戦車の損失が激しいロシア軍はとうとう温存していた最新鋭戦車”T-14アルマータ”をウクライナの戦場に投入するかもしれません。
Video shared by a Russian page that was reportedly taken today of a T-14 Armata tank.https://t.co/LNyEo9BR4p pic.twitter.com/8ZXJOexAfV
— Rob Lee (@RALee85) October 6, 2022
10月6日、これまでウクライナで確認されることは無かったロシアの最新鋭戦車T-14アルマータの姿が目撃されます。映像にも収められており、外観で判断する限りT-14アルマータに間違いないと思われます。この映像は親ロシア派が支配するウクライナ東部ルガンシク州で撮られたものとされています。映像は前線ではなく、訓練基地のような場所で撮影されたものに見えます。ただ、ロシア国内ではなく、ウクライナのルガンシクであることから、前線に向けて移動する準備を行っているのかもしれません。
T14 Armata pic.twitter.com/5nDHqsMhoH
— ZOKA (@200_zoka) October 7, 2022
ロシアの最強戦車も量産化はまだ
T-14アルマータはロシア軍戦車の中で最も新しいモデルで無人砲塔を採用する世界最初の主力戦車です。世界唯一の第4世代戦車と言われ、スペック上は”世界最強の戦車”と言われています。細かいスペックはこちらをご覧ください。
出典 Dmitriy Fomin2020年現在、最強の戦車はどれかといわれると、それはおそらくロシア連邦軍のT-14アルマータ(Armata)だ。各国の主力戦車の中でも最新で2014年から試作車の製造が始まり2021年から量産が開[…]
2015年の軍事パレードで初登場し、ロシアはT-72、T-80に代わる次世代主力戦車として2000両の生産を予定していました。2017年には量産化が始まり、部隊配備が始まる予定でしたが、しかし、生産は遅れに遅れ、量産化は度々遅延。開発製造元のRostecは2021年に2022年に量産化を開始すると宣言していましたが、ウクライナ侵攻でその経過も頓挫しているでしょう。これまで完成した車両は多くて20両弱とされていますが、これは量産モデルではなくプロトタイプや試験用で製造されたものであり、未だ実戦配備はされていません。それでもシリアで実戦テスト行ったとされていますが、ウクライナのような強度の高い戦場に耐えられるのかは不明です。ただ、侵攻開始から8カ月弱、戦車の消耗が激しくなる中で、投入に向けた改修を行っていた可能性はあります。
T-14はスペック上は大変優れた戦車です。ゲームチェンジャーになりえる車両でしょう。しかし、それは量産化されていた場合です。僅か20両の数ではどんなに性能が優れていても、今の劣勢の戦況を覆すことは難しいでしょう。T-14に随伴する車両も少なく、航空機のサポートも無ければ、結局は他の戦車と同じ末路を辿ります。T-90Mがいい例です。T-90MはT-14の量産が一向に進まないことで、T-90にT-14と同じ主砲を搭載するなどT-14に近い性能を持たせた改良版です。しかし、そのT-90MもT-14同様に僅か20両ほどしかなく、ウクライナの戦線に投入後、僅か数日で対戦車ロケットによって破壊。9月には無傷に近い状態でT-90Mが放棄されているのが発見され、ウクライナに鹵獲されます。どんなに兵器が優秀でもそれを使う人間が優れていなければ、宝の持ち腐れです。
T-14を投入しても、ウクライナのトロフィーに追加されるだけで、残骸は回収され、西側に分析されることになるでしょう。T-14は海外輸出も許可されていますが、兵器ビジネスも頓挫することになります。