イスラエルの軍需企業RAFAEL(ラファエル)社とグループのユーロトロフィーは、同社が開発生産するアクティブ保護システム「Trophy APS(トロフィーAPS)」が新たな契約を獲得し、ドイツとノルウェーが新たに採用する最新のレオパルト2A8と、イギリスが開発中のチャレンジャー3両主力戦車に搭載される事を発表した。
ラファエル、ジェネラル・ダイナミクス・ヨーロピアン・ランドシステムズ(GDELS)、Krauss-Maffei Wegmann (KMW)の3社の合併会社で欧州でのトロフィーAPSのマーケティング、販売、生産を担うEuroTrophy(ユーロトロフィー)は9月6日、ドイツのKNDSからドイツとノルウェー向けの新型戦車レオパルト2A8に搭載されるアクティブ保護システム(APS)の契約を獲得したことを発表した。トロフィーはドイツが発注する123両、ノルウェーが発注する54両、全てのレオパルト2A8に装備され、これはトロフィーがレオパルト2A8の標準構成の一部として選択されたことを意味する。
Bundeswehrドイツ政府は、ウクライナへ供与したことにより減少した戦車戦力を補充するために、18両のレオパルト2A8戦車と 12両のPzh2000自走榴弾砲の購入を承認しました。ドイツメディアの報道によれば、ドイツ議[…]
トロフィーは現行のレオパルトの最新Verであるレオパルト2A7にも搭載されているが、標準装備ではない。トロフィーはモジュール設計ではないため、戦車の完成後に追加のトロフィーを追加するよりも、生産過程でトロフィーを追加する方が効率が良く、追加の重量も少なくなる。レオパルト2A8はドイツ軍向けとしては30年ぶりに新規生産される。
イギリスのチャレンジャー3にも搭載
ラファエル社はイギリス国防省から総額2,000万ポンドで英陸軍の新型主力戦車チャレンジャー3向けのトロフィーの契約を獲得したことも発表している。これはユーロトロフィーではなく、ラファエル社との直接契約になる。チャレンジャー3は現行のチャレンジャー2をアップグレードする形になるが、既にトロフィーとチャレンジャー3の統合試験は行われており、その結果、迫る脅威に対し90%の確率で迎撃する有効性が実証されている。
British ArmyイギリスメディアのSkyNewsは9日、イギリス政府がウクライナへの追加軍事支援としてチャレンジャー2主力戦車の提供を検討していると報じました。SkyNewsは、英陸軍のチャレンジャー2主力戦車の一[…]
トロフィーはイスラエルのメルカバIV戦車、アメリカのM1A2エイブラムスSEPv3戦車の標準装備でもあり、今回の採用決定により、西側主力戦車の標準アクティブ保護システムと成功したと言っても過言ではない。
トロフィーAPS
「Trophy」はラファエル社によって開発された世界で唯一完全に統合され、戦闘で証明されたアクティブ保護システム(APS)。主にロケットやミサイル、迫撃砲などの対装甲兵器、対戦車攻撃の脅威から車両を保護する。レーダーシステムは攻撃の脅威を即座に検出、自動的に実行されるインターセプターによって飛翔体を撃墜する。同システムは2011年にイスラエル国防軍のメルカバⅣ主力戦車に最初に装備され、既にパレスチナやレバノンとの紛争における実際の戦闘で検証されており、RPG-7などの対戦車ロケットを撃墜するなど、その有効性を示している。発射地点を検出することもでき、速やかなカウンターを可能にする。5,000回以上のフィールドテストに成功し、車体、搭乗員の損害無しに1,000,000時間以上の運用時間を達成している。トロフィーは機器が大きすぎるため大型の主力戦車にしか搭載できないが、歩兵戦闘車や兵員輸送車にも搭載できる小型の「Trophy VPS」の開発も計画されている。
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