スウェーデンからウクライナに供与されたStridsvagn 122(Strv 122)戦車の映像が初めて確認された。ウクライナで同戦車が確認されるのは初になる。
映像では並ぶ6両とその前を走行する1両、計7両のStrv 122が確認できる。車体は赤外線検知から車体を遮蔽するためのバラクーダで覆われており、迷彩効果が高い仕様になっている。撮影場所は不明だが、撮影はウクライナ国内で行われており、同戦車がウクライナで確認されるのは初になる。
まだ、NATO加盟国ではないスウェーデンだが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当初からウクライナへの軍事支援を行っており、同国が提供した対戦車ロケットのカールグスタフが、ロシアの最強戦車と言われたT-90Mを最初に破壊したのは有名な話だ。今年1月と2月には40mm機関砲を搭載するCV90歩兵戦闘車50両、アーチャー155mm自走榴弾砲8両、そして、10両のStrv 122戦車をウクライナに供与する軍事支援パッケージを発表していた。スウェーデンのウクライナに対する軍事支援総額は既に15億ドルを超えている。
Stridsvagn 122
Strv 122はドイツのレオパルト2A5戦車をスウェーデンがライセンス生産、独自に改修したモデルになる。レオパルト2A5自体は1990年に導入が始まった近代化モデルで主に装甲面が大幅に強化されている。A4までは砲塔が垂直直角だったが、A5からは砲塔前面部にくさび形の空間装甲ボックスを追加、これにより、弾道をそらしたり、前部装甲が貫通されても破片による被害を軽減。これがA6以降でも踏襲されている。車体前部の装甲も強化され、砲塔が完全な電子制御になり、車長や砲手の視界も改良されている。
スウェーデンはさらにA5を独自に改修。対戦車兵器から身を守るべく防御面が360度アップグレードされている。特にトップアタックに弱いとされる戦車の上面、ハッチ部分が強化されており、防御面は本家より高い。独自の射撃管制装置はレーザー距離計、サーモグラフィカメラ、速度/距離/精度計算機の支援を受けて素早くターゲットを発見、識別し、ロックオンする。一度に多数の目標にロックオンできるため、砲手は一発ごとに手動で照準を合わせ直すことなく、多数の敵車両と戦うことができる。ウクライナに提供されたレオパルト2はA4とA6になり、A5は無かった。Strv 122が揃ったことでA4、A5、A6が揃うことになる。
第21独立機械化旅団に配備
フォーブスの報道によればStrv 122は新設された第21独立機械化旅団に配備されているようだ。同旅団がウクライナ東部ルハンスク州で戦闘を行っているのが確認されており、Strv 122も同地域に配備される、されている可能性が高い。同旅団は春先からStrv 122の訓練を行っていた。旅団には同じくスウェーデンから提供されたCV90の配備も確認されており、旅団はスウェーデンから供与された兵器で編成された部隊の可能性が高い。CV90は乗員3名に兵士6名を輸送できる歩兵戦闘車で強力な40mm機関砲を搭載。兵士の輸送量はアメリカのM2A2ブラッドレー歩兵戦闘車と同等で、攻撃力はブラッドレーの25mm機関砲よりも上だ。車体重量も重く装甲も上とされる。最大速度は70km/h、走行距離は600kmで機動性も申し分なく、ウクライナに提供された歩兵戦闘車では最強とされている。
また、同旅団には砲大隊もあり、おそらく、アーチャー155mm自走榴弾砲も配備されていると推測する。アーチャー自走榴弾砲は最強の自走砲と言われており、発射準備から、発射まで全て自動化、砲撃地点に到着してから僅か30秒で攻撃が可能で最悪一人でも運用できるとされている。
BAE Systems スウェーデンの国防相ポール・ジョンソンは10月30日にウクライナへの更なる軍事支援を約束、その中にはより洗練された兵器が含まれているとされ、FH-77BW L-52 アーチャー自走榴弾砲が提供される見込みだ。[…]