ウクライナの戦場でウクライナ軍のレオパルト2A6戦車とロシア軍のT-80BV戦車が相まみえるという珍しい戦車同士の戦闘が行われた。
A Ukrainian Leopard 2A6 engages a pair of Russian T-80BVs at a range of roughly 2.8 km, scoring a hit one one.
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) September 9, 2023
Robotyne, June. pic.twitter.com/MJlsoCt4Iw
戦闘が起きたのはウクライナ南部ザポリージャ州の最前線で、ウクライナ軍が進撃しているロボティネ近郊だ。ここで、ウクライナ軍の1両のレオパルト2A6戦車とロシア軍の2両のT-80BV戦車が対峙した。映像ではレオパルト2A6の後ろに装甲車らしき車両も見えるが後方に下がっており、レオパルト2A6は単機で2両のT-80BVに挑む形になっている。レオパルト2A6が主砲を発射すると砲弾は戦闘のT-80BVに命中したのか、黒煙を上げる。レオパルト2A6とT-80BVの間の距離は直線で2800mとされ、レオパルト2A6の55口径120mm滑腔砲の高い精度と射程が分かる。だが、致命傷は避けたのか、煙の中から後退していくT-80BVの姿が見える。勝てないと悟ったのか後方に控えていたもう一両を含め、2両は共に撤退していった。これは戦車戦におけるレオパルト2の初勝利とされている。
レオパルト2A6
ドイツ軍とオランダ軍のために開発され、2001年に配備された2A6はウクライナに提供されているレオパルト2シリーズとしては最も新しいバージョンになる。主な変更点は主砲であり、これまでの120mm L/44滑腔砲から、より砲身の長い120mmL/55 滑腔砲に変更されている。これにより、最大射程は3500mから4000m以上に伸びた。この他、射撃管制装置や通信コマンドシステムも改良されている。この他、ウクライナに多数提供されている2A4と比べ、2A5から搭載されている砲塔前面部のくさび形の空間装甲ボックスにより、装甲が強化され、砲塔は完全な電子制御になり、車長や砲手の視界も改良されている。ドイツは14両の2A6をウクライナに提供したが、この虎の子の車両も既に9両が破壊ないしは損傷している。幸い、全て回収できており、修理は可能とされている。
T-80BV
ソ連時代の1976年に登場したT-80戦車の改良版で1985年に運用が始まった車両でソビエト軍時代の戦車としては最も新しいモデル。T-80の特徴である1250馬力のガスタービンエンジン、125mm滑腔砲を搭載。125mm砲は西側の120mm滑腔砲と遜色ない威力を持つが最大射程は2,120mとレオパルト2A6と比べると短く、2800mの交戦距離では戦車砲では反撃できない。それを補うためにT-80BVの125mm砲は射程5000mの対戦車ミサイル9M112 コブラが発射できるようになっているが搭載していなかったのかもしれない。T-80BVは装甲面が大幅に強化されており、前身のT-80Bから採用された新しい複合装甲を備えた改良型砲塔が特徴で、車体と砲塔の前面はAPFSDS弾に対する保護が強化され、砲塔の保護レベルはRHA換算で410mmから500mmに増加。更にT-80BVではKontakt-1爆発反応装甲が砲塔の両側と上面に追加されている。これらの効果もあってか、レオパルト2A6の主砲の攻撃を受けても退却が可能な損傷ですんだのかもしれない。