ロシア軍は自衛隊の高機動車を使っています

ロシア軍は自衛隊の高機動車を使っています

ロシアのガレージで陸上自衛隊が使用している高機動車(HMV BXD10)が修理されている映像が見つかりました。ウクライナ側の主張によると映像はウクライナで損傷した車両を修理するためガレージになり、実際、高機動車の隣にはロシア軍の装甲車両スコーピオンLTAが並んでいます。実は確認されたのはこれが初めてではありません。昨年11月にはロシア陸軍の第11空挺強襲旅団で高機動車が使用されていることが確認されています。

日本は今回のウクライナ侵攻で、ロシアには軍事、民間含め支援は一切行っていません。ウクライナに支援した兵器がロシアに鹵獲されたのでは?と思う人もいるかもしれませんが、日本はウクライナへの支援はボディアーマーやヘルメットといった防護装備、そして、ドローン、車両については自衛隊が所有している民生品のバンを提供していますが、高機動車を送ったという情報はありません。では、なぜ、ロシア軍が自衛隊の高機動車を保有しているのでしょうか。

高機動車(HMV BXD10)

高機動車(HMV BXD10)
出典:陸上自衛隊

高機動車(High Mobility Vehicle:HMV)は1990年代初頭に陸上自衛隊に採用された人員輸送用自動車で、略して”高機”とも呼ばれています。開発はトヨタ自動車、製造は同グループの日野自動車が担当しています。自衛隊のために開発された軍事仕様ですが、あくまで人員輸送が目的であり、装甲車両であはありません。一部、海外派遣などでは防弾板や防弾ガラスが追加されます。その他、120mm迫撃砲を牽引する重迫牽引車や後部に93式近距離地対空誘導弾といった兵器を搭載した派生モデルがあります。これまで約3000両が生産され、自衛隊に配備されています。自衛隊専用車両で民間には販売されておらず、国外にも輸出されていません。

なぜ?ロシアが保有している

高機動車には民間用モデルのメガクルーザーが市販されていますが、130両ほどしか製造されておらず、多くは警察や消防、自治体に納入され、一般にはほとんど販売されていない貴重な車両です。11月の段階では少なくとも3台の高機動車をロシア軍が所有していることが確認されています。

防衛装備品である高機動車は基本、国内および海外に販売及び提供することはできません。ロシアが高機動車を手にいれた方法として考えられるのが、自衛隊で不要となった高機動車が海外に鉄屑として売却され、本来解体されるはずが修理を受け販売された形です。実際、海外の中古マーケットで高機動車が売買されているのが確認されており、それを逆輸入する日本人もいます。ロシアが手に入れたとしてすれば、鉄屑としてそれを手に入れ、再利用、または第三国から輸入した可能性が高いです。

ちなみに日本はロシアへの自動車輸出を規制していますが、それはレクサスや特殊車両など600万以上の高級車です。日本の中古車は変らず人気が高く、ロシア国内から海外自動車メーカーが撤退した今、日本からの中古車輸出は侵攻前から倍増しています。

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