ロシアのイズベスチヤの報道によるとロシア軍は北方領土を含む千島列島(露:クリール諸島)の防衛のために同国の戦車T-72B3の配備を進めると報じた。
北方領土は北海道の東、根室半島の沖合にある択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の島々を指す。ここは日本がポツダム宣言を受け入れ、1945年8月15日に降伏し、太平洋戦争が終わった後の戦後の混乱に乗じて、8月28日から9月5日にかけて、ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して上陸、占領した地域で、それから実効支配を続けている。日本は固有の領土して四島の返還を求めている。
T-72B3の配備は実効支配を強めることが目的であり、地理的に明らかに日本を睨んだ配備となる。戦車は地上戦がメインだが、配備される戦車は海岸防衛が目的で、上陸を目指す小型艦艇を迎撃することができるとロシアの軍事専門家は述べている。
T-72B3戦車とは
T-72は1971年にソ連で開発された第2世代の主力戦車。モデルとしては古いがT-72は未だに前線を張れる優良な戦車で、ロシア軍の主力戦車の一翼を担っている。T-72B3は近代化改修されたモデルで2011年に登場、性能があがり、より現代的な車両になっており、第3世代の戦車と遜色ない性能を持っている。
砲手用のマルチチャンネルにサーマルサイトが追加され、自動装填装置、射撃管制システム、通信制御システムが改良されている。防御面では20mm前面装甲と爆発反応装甲が追加され、前面236mmで砲塔前面296mmの装甲厚をほこる。エンジン出力も840馬力と向上し、最大速度は70km/hと機動力が高い。
主砲はもともと強力な125 mm滑腔砲を装備しており、これは陸上自衛隊の10式戦車の120mm滑空砲と比べ遜色ない威力を持っている。T-72B3では、それが改良されており、口径は変わらないがレーダー誘導式の対戦車ミサイルの”9M119M Refleks ”が発射できるようになっている。これは通常の砲弾の射程の倍の4000~5000mの射程を持っている。
T-72B3は既に数輌配備されており、現地で演習が始まっている。最終的な配備数は不明だが、1~2年かけて配備が完了される予定だ。
https://iz.ru/1079346/2020-10-27/istochniki-rasskazali-ob-usilenii-kuril-raketnymi-tankami