欧州の戦車コンソーシアムのKNDSは現在、フランス・パリで開催中の国際防衛展示会「EURO Satory 2024」でドイツのレオパルト2、フランスのルクレールの両戦車の新しい近代化モデルコンセプトを発表した。
レオパルト2 A-RC
A-RC 3.0 と呼ばれる新しいレオパルト2 A-RCのコンセプトはこれまでの改良モデルとは異なり、刻々と変化する現在の戦闘環境に適応するために抜本的な改良が加えられている。第4世代戦車の標準とされる無人砲塔を採用。もちろん、自動装填になり、装填手は削減され、乗員は3人に減る。この新しい自動装填装填は装填スピードが速く、10秒以内に3発の射撃が可能になる。また、無人砲塔化する事により砲塔面積が減り、被弾面積が30%減少すると主張している。現在のA7の車高2.64mと比較してA-RCでは2.44mに下がる。砲塔の主砲は交換可能になり、これまでのNATO標準の120mm砲に加え130mm砲、そして、現在開発中の140mm砲に換装できる。副武装には対戦車ミサイル発射装置、そして、ドローンや対戦車ミサイルといった空中脅威、近距離の敵に対抗するために遠隔操作の30mm砲が搭載される予定だ。
同じく第4世代戦車では標準となるアクティブ防御システム(APS)も強化される予定だ。レオパルト2にはA7モデルからイスラエルのラファエル社が開発したAPS「トロフィー」が搭載されている。装甲はモジュラーシステムになり、状況に応じて装甲を強化できる。また、改良を重ねる度に増加した車体重量、最新のA7モデルでは66トンまで増えたが、A-RCでは60トン以下に抑えられる予定だ。これにより、走行可能な橋りょうが大幅に増え、輸送コストも減る。KNDSは既存のレオパルト2戦車すべてがA-RCに改良できると発表しており、現在のレオパルト2戦車の採用国を繋ぎとめておくことができる。
ルクレール
フランス陸軍では現在、ルクレールを新しいXLR規格へのアップグレードが進行中であり、レオパルト2と比べると発表されたルクレールの近代化はスケールが小さいかもしれない。対戦車ロケット弾に対抗するために背面と側面に装甲を追加。また、新しい有人主砲システムASCALONを搭載する。これはレオパルト2 A-RCの無人砲塔と同様、120mm、130mm、140mmの口径に換装が可能だ。既存のルクレールは自動装填装置を採用しており、乗員は3人だが、新しいルクレールでは副車長というポジションを追加し、乗員を4人に増やす。これは現代の戦闘状況に適応するためであり、シャーシに副指揮官乗務員ステーションを追加、副車長はセンサーとエフェクター スイートを管理し、周囲の戦況を常に監視する。
KNDSは現在、フランスとドイツの共同開発による次期主力戦車「MGCS」に取り組んでおり、2030年代の配備を目指している。今回、発表されたレオパルト2とルクレールの近代化モデルはあくまで、それまでの繋ぎである事をKNDSは主張している。