戦車爆買いしたポーランドはNATO三番目の軍事大国に

戦車爆買いしたポーランドはNATO三番目の軍事大国に
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アメリカからM1A1/M1A2エイブラムス、韓国からはK2ブラックパンサーの両主力戦車を購入するなど、驚異的な勢いで軍備増強を図っているポーランド。これらの配備が全て完了すると欧州NATOの中で最も多くの戦車を保有する国となり、NATO諸国の中でも3番目の軍事大国に躍り出るとされている。

M1エイブラムス戦車366両を調達

M1エイブラムス戦車366両を調達

2021年7月、ポーランドはロシアに対する抑止力として、アメリカからM1A2エイブラムス戦車250両を47億ドルで購入すると発表した。M1A2は米陸軍も使用するエイブラムスの最新モデルで実績的には世界最強と称される戦車。これだけでも十分なインパクトだが、2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシアによる侵略が現実的な脅威として差し迫ると、ポーランドはエイブラムスの追加調達に踏み切る。といっても、購入するのはM1A2ではなく、米海兵隊が使用していた一世代前の中古のM1A1エイブラムスで14億ドルで計116両の調達を結んだ。一世代前、中古と言えど、第3世代戦車に分類され、湾岸戦争でイラク軍のT-72戦車に無双したM1A1は世界でも最高レベルの戦車に分類されている。この追加契約によってポーランドはアメリカから計366両のM1エイブラムスを調達することとなった。M1A2はM1A1を改修して生産を行うため、納入はまだ先だが、中古のM1A1は契約がM1A2の後ながらも2023年6月には最初の14両を受領し、晴れてNATO加盟国ではアメリカを除いて最初のエイブラムス運用国になった。これまで約70両を受領しており、2024年中に116両全てが納入される予定だ。M1A2については2025~2026年の納入を予定している。

1000両を購入する韓国製のK2ブラックパンサー

366両のエイブラムス購入だけで、かなりのインパクトだがポーランドが世界を驚かせたのが、2022年7月に契約を締結した韓国製主力戦車K2ブラックパンサー、1000両の購入だ。K9サンダー155mm自走榴弾砲で世界の自走砲市場を席捲していた韓国だが、戦車においてはまだ販売実績がなかった。ポーランドがK2にとって、初の海外実績になったわけだが、いきなりの1000両だ。韓国はポーランドとの契約を実現するため、技術供与、現地生産も認めた。1000両の内、韓国から輸出するのは180両のみで、残りの820両は現地生産する。ポーランドで生産されるのはポーランド軍仕様のアップグレード版K2PLになる。また、韓国は動きも早かった。最初の5両は2023年6月に納入する予定だったが、それを3か月前倒しして3月に納入。10月までに韓国生産分の180両を完納させた。K2の選択理由にM1A2の納期が2025年以降と遅いことが理由とされており、K2は文字通り、その隙間を埋めた形だ。ポーランドはK2以外にもK9サンダー155mm自走榴弾砲650両、軽偵察車両「KLTV」約400両、重装甲戦闘車「CBWP」数百両の購入を発表している。

NATO欧州最強の戦車大国

ポーランド軍はエイブラムス、K2の導入前からドイツ製のレオパルト2A4を126両、レオパルト2A5を105両、レオパルト2PLを16両、T-72戦車ベースの国産戦車PT-91 Twardyを約200台を保有している。これだけでもNATO主要国の戦車保有数に匹敵する数だ。しかも、ポーランドは保有していたT-72戦車290両、PT-91を60両、レオパルト2A4を14両、ウクライナ支援のため供与している。エイブラムスとK2の購入でポーランドの戦車数はロシア侵攻前から倍増、その数は2000両に匹敵する。これはロシアを除いてはヨーロッパ最多になり、NATO加盟国においてもアメリカに次ぐ数だ。更にポーランドは戦車以外にもF-35ステルス戦闘機、韓国からFA-50軽戦闘機の購入も決定している。これらの配備が全て完了すれば、NATOの中ではアメリカ、イギリスに次ぐ3番目の軍事力を持つことになるとされている。陸軍についてはアメリカに次ぐ2番目になる。ロシアの飛び地カリーニングラード、ロシアの衛星国ベラルーシ、そして、ロシアの侵攻を受けるウクライナに隣接するポーランドはロシアの急先鋒として今後も軍事力を強化していくと思われる。

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