ルーマニア陸軍は主力戦車に米国のM1エイブラムスを選択

US Army

ルーマニア国防省は8日、アメリカのM1エイブラムス主力戦車を購入する計画を発表しました。ヨーロッパで大きなシェアを握るドイツのレオパルト2も検討されていましたが、ポーランド同様に米国製を選択しました。

ルーマニア陸軍のニーズに合わせて、装甲大隊用に56両のM1エイブラムスを購入する予定です。この取引は、より広範囲な調達プログラムの一環としての政府間 (G2G) 取引となり、主力戦車のほか、自走榴弾砲や歩兵戦闘車、短距離対空ミサイルシステム、F-16戦闘機用のミサイルもセットも含まれます。ルーマニア議会の承認を経て最終決定されます。

ウクライナと数百キロに渡って国境を接するルーマニアにとって、万が一に備え、防衛力を強化するのは喫緊の課題です。ルーマニアはGDPの2%を国防費に割り当ていましたが、その割合を2.5%に引き上げ、近代兵器の取得に向けて大規模な投資を行います。昨年6月にはノルウェー軍の中古のF-16戦闘機32機の購入を決定するなど、ソ連製戦闘機からの脱却、そして、今度は戦車です。

ルーマニアの主力戦車はT-55系

TR-85M1(Romanian Army)

ルーマニア陸軍の主力戦車は現在、120両のT-55AM、226両のTR-85、54両のTR-85M1を保有しています。T-55AMは戦後のソ連で開発されたT-55戦車です。TR-85はそのT-55をベースに1978年から1985年にかけて開発されたルーマニア国産の戦車です。TR-85M1はTR-85をNATO標準仕様にアップグレードした近代化モデルになります。つまり、ルーマニア陸軍の主力戦車は近代化こそしているものの全てT-55という古い基本設計をベースにした戦車ということになります。近代化モデルのTR-85M1でさえも、国産エンジンを搭載したその最高速度は60km/h、オフロードで40km/hと近代戦車と比べると鈍足です。更に致命的なのが、主砲が100mmライフル砲と軽戦車なみの口径しかなく、ロシアの主力戦車と渡りあうことはできません。 近代戦車の調達は優先課題であり、通常、調達計画が遅いルーマニアですが、この調達は速やかに手続きされると見込まれています。調達するM1エイブラムスのバージョンは明らかにされていませんが、NATOとの装備の共通化を考えるとポーランド軍がM1A2エイブラムスを採用したようにM1A2の調達が見込まれます。

Source

Romania to buy 56 Abrams tanks from the US under G2G contract

After Poland, Romania also wants to buy American Abrams tanks

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