スペイン軍で保管されているレオパルト2A4主力戦車をウクライナに提供する計画。提供のために技術検査を行ったところ、状態が悪く、技術的な問題があることが分かり、計画が断念されたことが分かりました。
スペイン軍の主力戦車レオパルト2A4、保有する108両の内、半分の54両はサラゴサ兵站基地に保管され、10年間眠っている状態でした。そこで、スペイン政府はこれをウクライナへの軍事援助として40両を提供することを内々で計画します。しかし、それが根回しの前にメディアにすっぱ抜かれ、製造もとのドイツは「聞いていない!」と遺憾砲を発射します。スペインは謝罪に追われ、計画の頓挫も考えられましたが、NATOはスペインのこの計画を支持。NATOの支持を得たことで、スペインは7月中旬、規模は大幅に縮小したもののレオパルド2A4戦車10両とM113装甲車20両をウクライナに提供することを決定します。しかし、長らく倉庫に眠っていたレオパルト2A4を提供するにはオーバーホールが必要です。その費用はEUの「欧州平和ファシリティー」(EPF)と呼ばれる基金から拠出されることになり、提供のための外堀は埋まります。
戦車はまずオーバーホールのためにウクライナの企業に引き渡されますが、作業自体はスペイン領内で行われ、それが終わってからウクライナ領内に輸送する予定でした。この取り決めも含め、近々、スペインとウクライナで新たな軍事支援に関する協定の契約を行うはずでした。その準備のためと最終的なドイツと米国の承認を得るためにウクライナの専門家グループがスペインを訪れ、保管されている車両の状態を調査し、修理と近代化が必要かどうかを調査。その結果、車両の状態が悪く、技術的な問題があることが分かります。これをうけスペインはウクライナへの引き渡しを断念。スペイン国防相マルガリータ・ロブレスは公式発表を行い、レオパルト2A4がスペインに留まることを表明「今日、私たちはあらゆる可能性を検討していますが、サラゴサで長年使用されていないレオパルトをウクライナに送ることは不可能です。車両は完全に哀れな状態にあるからです」と述べ、「この状態の戦車を提供すれば、ウクライナ兵の命を危険にさらすことになる」とロブレス氏は付け加えました。
つい先日も、長らく保管状態であったゲパルト自走対空砲をウクライナに提供したとこと、新規で作った弾が使用できないという問題がありました。ウクライナにとっては残念ですが、予備役として保管する兵器の保管方法、あり方を考えるいいきっかけになるかもしれません。
KMWドイツは先週、計画されていた軍事支援の一つ、ゲパルト自走対空砲の提供ついて最初の5両をウクライナ軍に納入しました。しかし、合わせて提供した弾薬が兵器システムに認識されず、使用できないことがわかりました。[adcode[…]
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